ソニーグループが3月、テレビ事業を中国のライバル企業との新しい合弁会社に移管すると発表した際、日本の多くの人々は、同国の家電産業が全盛期だった時代への郷愁に似た感情を覚えた。しかし、ソニーの十時裕樹最高経営責任者(CEO)は感傷に浸るような人物ではない。 同氏は1987年から同社に勤め、カラーテレビからウォークマン、プレイステーションに至る製品がソニーの名を世界に知らしめた時代の同社の物語に精通しているが、それにもかかわらずだ。 昨年CEOに就任して以来、十時氏はテレビ事業の切り離しを実行し、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)をソニーの重要な画像センサー事業の協業に招き入れ、かつて自身が率いたソニーの金融部門を分離(スピンオフ)した。