職場で先輩に肩をたたかれる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事ができ、上司からの信頼もあつく、将来の出世頭と目される先輩。そんな人の近くで働けることは大きなチャンスに見える一方、過剰な要求や理不尽な言動に振り回されることもある。圧の強い相手と関係を壊さず、自分も消耗せずに働くにはどうすればいいのか。※本稿は、ヘルスコミュニケーションスペシャリストで博士(保健学)の蝦名玲子『病まないための職場サバイバル戦略』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。

圧が強いシゴデキ先輩と
消耗せずにつきあうには?

《先輩Aさんと、ある事業を一緒に進めることになりました。経験豊かで仕事のできるAさんは、社内の「スター」的存在。上司からの信頼もあつく、将来はわが社を背負っていくことになるだろうと噂されています。後輩陣のファンも多く、私もその1人でした。Aさんのことを尊敬していたので、A班(Aさんの名前を冠した班の俗称)の一員になれてこれからいろいろ学べると期待し、ワクワクしていました》

《しかし、事業が進むにつれて、Aさんから過剰ともいえる要求が始まりました。特に、トラブルが起きAさんの業績に少しでも傷がつきそうなときには、就労時間外でも関係なく、頻繁に指示や要求をしてくるようになり、即時対応が求められるようになったのです》

《少しでも異論を唱えると、徹底的に論破され、私の意見や提案はことごとくつぶされます。またそうした後には、言動の揚げ足をとる嫌味な長文メールが届くことも多いです》

《私に至らない点もありますが、うまく進まないことがあるとすべて私のせいにされることも少なくありません。誤解を解こうと説明すると逆上し、職場だけでなく、夜中に電話をかけてきてまくしたてることもあります》

《上司に相談したのですが、「私からもAさんに伝えておく。ただAさんに悪気があるわけではなく、人一倍熱心だから誤解されてしまう」などとAさんの肩を持ち、結局、状況は大して変わりません。事業終了までやり遂げたい気持ちはありますが、毎日、Aさんの顔を見るのが憂鬱です》

(編集部注/個人が特定されないように再構成したうえで、筆者が産業保健分野の専門誌で紹介したお悩みに新たな脚色を加えたフィクション)

 事業終了後まで、Aさんとどうつきあっていけば、疲弊リスクを少しでも減らせるのでしょうか?

 まず、Aさんからの攻撃を減らすことから考えましょう。

 激しい正当化や非難などの攻撃を減らすポイントは、Aさんに「否定された」と感じさせないことです。正当化や非難の裏には「自己防衛」があるので、Aさんの自己防衛システムを作動させないように刺激しないことが基本です。承認や肯定をし、相手の防衛反応をやわらげましょう。

 しかし、事業を進めていくうえで、Aさんと異なる見解や提案を示さなければならない場面も出てくるでしょう。そうした場合には、質問や仮説の形で提示することで、無価値感を活性化しかねない「恥」や「侵入された感覚」による否定的反応を最小限に抑えることができます。