Alexandra Citrin-Safadi/Elizabeth Coetzee/WSJ
【グランド・レイク・ストリーム(米メーン州)】バリー・ノートン氏が人工知能(AI)の科学的ブレークスルーに関する講演を始めてから30分ほど経過していた。その時、ウォール街で最も重要な質問が投げかけられた。
資金運用担当者やエコノミストなどの金融関係者らは、スーツをTシャツやカーゴパンツに着替え、メーン州の大自然にあるこの釣りの聖地に今年もやって来ていた。彼らは板張りの食堂でワインを何杯も飲み干しながら、ノートン氏の話に引き込まれていた。長年テック投資を手がけてきた同氏は、いつか半導体設計が非常に複雑かつ効率的になり、技術者たちが文字通り分子を動かすようになると説明した。
すると1人が手を挙げ、こう尋ねた。米企業はこうしたAIの進歩のために何兆ドルもの費用を負担している。それだけの投資に見合うリターンは得られるのか、と。
「私はその質問に答えられないし、ウォール街も答えられない」と、ノートン氏は述べた。彼は部屋の隅に立ち、背後の壁には魚や鳥の複製がピンで留められていた。「まだ分からない。それについては心配している」
主要な株式指数やマイクロン・テクノロジーの株価を垣間見るだけでは分からないだろうが、AIを巡るウォール街の不安は水面下でかつてないほど高まっている。
かつては盤石な財務状態を誇った巨大テック企業だが、今はキャッシュフローがマイナスになっている。バランスシート上に表れない支出はさらに大きい。売上高拡大への期待は桁外れに高く、オープンAIのような企業はそれに応えるのに苦労している。世界で最も時価総額が高い企業である エヌビディア は半導体販売の好調を維持すべく、 全く新しい資産クラス を育てている。







