ホッとした途端に不調になる人と、ならない人。その差は一体どこにあるのか?
本記事では、山口周氏に「決して寝る前に読み始めないこと。一度ページをめくってしまうと止めるのは不可能です。」と絶賛され、日経新聞、週刊現代などの書評で話題となっている『極限の漂流118日間』をもとに、「ホッとした途端に不調になる人」の共通点についてライター照宮氏が寄稿する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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痛みが襲ってきたのはすべてが終わったあと
ある日、駅の階段を踏み外し、ひざを強く打ってしまった。今日は、いくつもの銀行を回る予定が入っている。痛みはあるが、立ち止まって様子を見る余裕はない。一件終えるごとに、また次の場所へ向かう。気づけば、ひざのことより目の前の手続きを済ませることに意識が向いていた。
しかし、すべての用事を終えて帰路についた瞬間、ひざの痛みが急に強くなった。さっきまで歩けていたのに、いつの間にか足を引きずっていた。
なぜ、ホッとすると不調になる?
アドレナリン全開の航海アドベンチャーとラブストーリーが融合したとてつもない実話『極限の漂流118日間』(ソフィー・エルムハースト著/村井章子訳)には、救助直後、緊張がほどけた身体の変化が記されている。
脚がむくんできて浮腫が生じる。栄養不足の症状だった。動くのもやっとという状態である。
――『極限の漂流118日間』より
救助されたふたりには、熱いミルクやパン、きれいな水が与えられた。
それまでのふたりは、身体が限界に近づいても動き続けるしかなかった。安全な船に引き上げられた途端、抑えていた不調が表に出てきたのだ。
動けている間、人は自分がどれほど無理をしているのか気づきにくい。
目の前のことをこなしているうちは、切り抜けることが先になる。
終わったあとに身体がついてこないのは、張りつめた時間が続いていたからだ。
危機を乗り越えたあとに見直すべきこと
繁忙期、トラブル対応、引っ越し。大きな用事が終わると、気持ちは一段落する。
けれど、そこで自分の状態まで整ったとは限らない。
夫のモーリスと妻のマラリンに必要だったのも、救助直後、身体と心を少しずつ日常に戻していく時間だった。
大切なのは、何かを乗り切った直後に「まだ動けるから大丈夫」と決めつけないことだ。ここまで後回しにしてきた疲れや違和感に向き合うこと。
その時間が、また動き出すための支えになる。








