「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
そんな木下氏が考える「一瞬で地頭が悪いと思われる人の特徴」とは? 本書から一部を抜粋して特別に配信する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

一瞬で「地頭が悪い」と思われる人の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「地頭のいい人」と「地頭の悪い人」のシンプルな違い

「あの人は地頭がいい」
「あの人は地頭が悪い」

あなたも、こうした会話を一度は聞いたことがあるでしょう。
では、地頭がいい人とは、一体どんな人を指すのでしょうか。

よく「頭のいい人の延長線上」にあるものとして語られますが、私はそうは思っていません。

実際の仕事現場では、知識や経験はなくても思考に深みのある「地頭のいい人」と、知識や経験はたくさんあっても思考が浅く見える「地頭の悪い人」がいるように見えます。

ただし、ここで1つ、重要な点があります。

厳密に言うと、地頭は「いい」「悪い」というものではありません。
地頭は、「使っているか」「使っていないか」
ただそれだけの違いです。

本書では、地頭を使っている状態を「地頭スイッチが入っている」、地頭を使えていない状態を「地頭スイッチが入っていない」と言います。

「地頭の悪い人」の特徴・ワースト1

では、具体的にどんな状態が「地頭スイッチが入っていない」のでしょう。

あなたの仕事の手順についてこんなふうに聞かれたとします。
「なんで、その手順でやっているの?」
これに対し、次の応答だった場合、あなたの地頭スイッチは入っていません。

・「今までそうしていたので」
・「○○さんがそうしろと言ったので」

あるいは、同業種から転職してきたにもかかわらず、

・「前職での経験がほとんど活かせない」と感じている
・「前社ではこうやっていました」としか言えない
この場合も、地頭スイッチが入っていない状態です。

こうした人は「過去に学んだこと」は知っていますが、それを自分の頭で考えてはいません。

もう少し具体的な例で見てみましょう。
ある広告代理店が広告の制作担当者を中途採用したとします。
その人は前職で自動車メーカーの広告を手掛け、経験も十分ありました。

ところが、実際にフェラーリの広告をつくってもらうと、「同じ自動車だから」という理由で、国産の軽自動車と同じような広告をつくってしまいました。

それは燃費やキャンペーン価格をアピールする内容でした。これでは、高級スポーツカーの魅力がまったく伝わりません。

この人は、商品を見て広告をつくったわけではありません。
前職で身につけた「広告フォーマット」をそのまま当てはめただけです。

その結果、どんな商品でも、同じような広告になってしまう。これは、地頭スイッチが入っていないまま仕事をしている状態です。

もし地頭スイッチが入っていれば、商品が違う場合、ターゲット層も、アピールすべき点も、言葉の選び方も、構成も、まったく違ってくるはずです。

こういう転職者は「“経験”はあっても“ノウハウ”はない人」と言われます。

たしかに前職で「経験」してはいるものの、状況が変わっても再現できる「ノウハウ」として身についていないのです。

「地頭のいい人」の特徴・ベスト1

一方、地頭スイッチが入っている人は、同じ問いを投げられても、反応がまったく違います。

「なんで、そうするの?」と聞かれたとき、「前からそうだから」「誰かがそう言っていたから」ではなく、「目的や現状から鑑み、このやり方が一番合理的だから」と答えます。

地頭スイッチが入っている広告の制作担当者なら、経験がなくてもフェラーリの広告をつくれますし、まったく異分野の商品広告もつくれます。