「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
そんな木下氏が考える「自分で自分の可能性を殺している人の思考パターン」とは? ライターの照宮氏が報告する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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もうダメかもしれない
公務員を辞め、海外に出た。
帰国後も出版社に勤めたかと思えば、またニートに戻る。
そんなことを繰り返しているうち、気づけば貯金も尽きかけていた。
そうしたどん底にいたとき、出版社時代にお世話になった編集者と久しぶりに食事をすることになった。
「もうダメかもしれない」
と打ち明けると、返ってきたのは予想外の一言だった。
「え、その経歴すごく面白いよ。ブログに書いたら?」
自分では、ただの失敗の履歴だと思っていたから驚いた。
でもブログに書いたところで、一体何になるというのだろう?
自分の強みは、なぜ自分には見えない?
ベストセラー『「悩まない人」の考え方』の中で「ここ20年以上、まともに悩んだことがない」と書いた木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』でこう述べている。
人の発言を聞くことで初めて、「そんな切り口があったのか」「自分はそこを見ていなかった」という気づきが生まれます。
――『地頭スイッチ』より
編集者があのとき見せてくれたのは、まさにこれだった。
自分の経歴が誰になぜ刺さるかを、編集者の目線で紐解いてくれた。
相手の思考に触れたことで、自分の見方が一瞬で変わった。
本書では、「研修の有効性」を例に挙げているが、研修に限らず、誰かの「なぜそう見たか」に触れる瞬間は、日常のどこにでもある。
自分の思い込みをほぐしてくれる
実際、ブログに書いてみると、同じ悩みを抱えた人からの反応があった。
自分では価値がないと思っていたものが、誰かの役に立っていたのだ。
編集者の一言がなければ、きっとそのまま捨てていただろう。
自分では気づけない切り口は、誰かの思考に触れることで見えてくることがある。
思考力を高めたくて手に取ったが、自分の思い込みをほぐしてくれる一冊だった。








