依頼を断れない人と、断れる人。その差は一体どこにあるのか?
本記事では、山口周氏が「決して寝る前に読み始めないこと。一度ページをめくってしまうと止めるのは不可能です。」と絶賛している話題書『極限の漂流118日間』をもとに、「頼まれるとつい断れない人の特徴」についてライター照宮氏が寄稿する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
Photo: Adobe Stock
ブログのコメント欄を閉じた理由
以前、自分のブログがあるインフルエンサーに紹介されたことがある。
その影響でありがたいことにフォロワーが一気に増え、同時にコメントも増えた。
最初は一つひとつ丁寧に返信していた。せっかく読んでくれたのだから、できるだけ返したいと思っていたからだ。
けれど、コメント数が増えるにつれ、とても返しきれなくなった。
気づけば、ブログを書く時間より、コメントへの返事を考える時間のほうが長くなっていく。そんな日々が面倒になり、気づけば、結局、コメント欄を閉じていた。
頼まれるとつい断れない人の特徴とは?
「波の数ほどの絶望を切り裂いていくと世界最大のシーフードレストランがあった」と椎名誠氏が評した『極限の漂流118日間』(ソフィー・エルムハースト著/村井章子訳)には、救助後のふたりの生活が世間の注目に巻き込まれていく様子がある。
ようやく安全な場所にたどり着いたふたりを待っていたのは、静かな休息ではなかった。
要求が多すぎ、人が多すぎ、注目されすぎる。
海の上ならまたふたりきりになれるだろう。
だがふたりはもはや自分たちの生活を自分たちで決められる立場にはないようだった。
――『極限の漂流118日間』より
モーリスが望んでいたのは、華やかな歓迎ではなく、船の上の規則や正しい生活に戻ることだった。
だが、陸に上がったふたりのまわりには、大勢の人が集まった。
ふたりを迎え入れたいという気持ちから来ているからこそ、そうした誘いや申し出は簡単には断りにくい。
注目されるということは、ただ見られることではない。
いろいろな人から声がかかるようになり、そのたびに新しい予定が生まれていくことでもある。
生き延びたあとに必要だったこと
反応が増えると、一つひとつに返すことが誠実さのように思えてくるが、受け取れる量には限りがある。
すべてに応じようとすると、自分の時間はどんどん削られていく。
仕事でも、成果を出したあとには、相談や依頼や誘いが増える。
評価されたあとほど、そうした声に応えるのが当然だと思い込んでしまう。
夫モーリスと妻マラリンも、救助後、求められる側に立たされた。
生き延びたあとに必要だったのは、さらに応え続けることではなく、自分たちのペースを取り戻す時間だった。








