「会計がわからない」という人にオススメなのが「サンキー図」を通じた理解です。今回は2社を比較して、視覚的に決算書を読み解いてみましょう。書籍『サンキー図で「お金の流れ」が1秒でわかる 見るだけ決算書』で登場する「PLサンキー図」を活用し、JR西日本とJR東海の稼ぐ力を比べていきます。
売上は約1.1倍、営業利益は約4.2倍
まず、2社のPLをサンキー図で俯瞰してみましょう。
JR西日本とJR東海のPLサンキー図|上:JR西日本、下:JR東海
2026年3月期の売上高は、JR西日本が1兆8,458億円、JR東海が2兆62億円。差は1,604億円で、JR東海の売上はJR西日本の約1.1倍です。
一方、営業利益はJR西日本が1,981億円、JR東海が8,302億円で、約4.2倍まで差が広がります。営業利益率にも30.7ポイントもの差があります。売上規模は近い2社なのに、なぜこれほど大きな差が生まれるのでしょうか?
売上総利益の段階で「差の9割」がついている
PLサンキー図を見ると、売上原価の帯の太さが大きく異なります。
実際に比べてみると、大きな差があったのは営業費ではなく営業収益
JR西日本の原価率は75.0%、JR東海は47.8%。営業利益率の差30.7ポイントのうち、27.2ポイントは売上総利益の段階ですでについています。 販管費率の差は3.5ポイントにすぎません。
つまり、営業利益の大きな差は販管費を差し引く前から生まれています。「本社の管理コストが軽い」「広告費を抑えている」といった話より、まず鉄道を走らせ、売上を作る段階での採算がまるで違うと見るべきです。
では、なぜ2社の売上原価率にはこれほど大きな差があるのでしょうか? 大きく分けると、鉄道を運営するコストそのものに差があるのか、コスト規模は近くても、そこから得られる収益に差があるのか、という2つの可能性が考えられます。
PLサンキー図からわかるのはここまでです。そこで両社の主力である鉄道事業まで範囲を絞り、営業収益とそれに対応する営業費を比べてみます。
営業費はほぼ同じ、営業収益は6,216億円違う
鉄道事業まで範囲を絞ると、意外なことに営業費は両社とも9,000億円前後でほぼ同じです。一方、営業収益には6,216億円もの差があります。つまり、JR東海の鉄道事業は、ほぼ同じ規模の営業費から、より多くの営業収益を生み出しています。
実際に比べてみると、大きな差があったのは営業費ではなく営業収益
その背景の一つには、東海道新幹線を収入の中心とするJR東海と、新幹線・在来線の双方を広く運営するJR西日本という路線構成の違いがあります。
列車を走らせる費用は、乗客が増えてもほとんど変わりません。そのため、より多くの乗客を運べる路線ほど、利益につながりやすくなります。実際、東海道新幹線は山陽新幹線よりも多くの旅客を運んでおり、こうした「路線ごとの稼ぐ力の違い」が今回の数字にも表れているのでしょう。
連結PLでの営業利益に約4倍の差が生まれる背景には、こうした主力の鉄道事業における採算差があると考えられます。
まとめ
決算書を数字の羅列として見ているだけでは、利益の差がどの段階で生まれたのかを特定するのに手間がかかります。PLサンキー図を並べれば、差が大きい箇所がひと目でわかるため、次に決算書のどこを確認すればよいのかをすぐに絞り込めます。
最後に、2社の比較を簡単にまとめます。
・営業利益率|30.7pt差のうち27.2ptは売上総利益の段階ですでに発生
・鉄道事業|営業費はほぼ同じでも、JR東海の営業収益は約1.6倍






