業績悪化のニュースを見て「空売りすれば稼げる」と考えていませんか? 実は底値圏の不振企業ほど、株価が急反発する恐ろしい罠が潜んでいます。『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』をベースに、単なる下方修正での空売りが危険な理由と、投資のプロの思惑が生み出す意外な「逆転劇」の裏側に迫ります。

投資のプロが教える…底値圏で株価が急反発する意外な理由・ベスト1Photo: Adobe Stock

「業績悪化=空売りで儲かる」の罠
プロが教える、底値圏で株価が急反発する意外な理由

企業の業績下方修正や決算の悪化は、通常であれば株価の下落要因となります。

「業績が悪いなら下がり続けるはずだから、空売り(ショート)すれば簡単に稼げるのではないか」と考えがちですが、市場の仕組みはそれほど単純ではありません。過度に売られた銘柄には、思いがけない「急反発のリスク」が潜んでいます。

「売られすぎた「不振企業」を狙うプロの影

業績不振によって株価が極端に下落すると、企業の保有資産や事業価値に対して時価総額が異常に割安になる現象が起きます。ここに、相場の流れを一変させる強力なプレイヤーが参入してくるのです。

もっとも業績の悪い会社の株価が下がり続けると、今度はアクティビスト(物言う株主)と連動して動くことが多いプライベートエクイティファンドなどに狙われてTOB(株式公開買い付け)が宣言されたり、発行体企業が(ややその場しのぎの傾向もありますが)株主優待などを発表したりして、株価が急騰するケースもあります。
――『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略」』より

株価が下がり切った企業は、アクティビストやファンドによる買収の標的になりやすくなります。TOBが発表されればプレミアム(価格の上乗せ)がついた価格で買い取られるため、株価は一気に急騰します。

また、買収を恐れた企業自身も防衛策として、突然の株主優待や大幅増配を発表し、株価を急回復させようとすることがあるのです。

「下方修正=空売り」という単純な戦略の落とし穴

このように、一見すると「下がる要素しかない」と思える銘柄であっても、市場の構造上、一瞬にして株価が跳ね上がるシナリオが存在します。

そのため、業績の下方修正があった企業の株式を「制度信用取引ショート」すればよいわけでもないようです。
――『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略」』より

空売り(ショート)は株価が下落すれば利益が出ますが、不意の買収劇などで急騰した場合の損失リスクは測り知れません。特に制度信用取引では、ショートポジションが積み上がると「逆日歩(株不足による借り賃)」が発生し、買い戻しが買い戻しを呼ぶ急騰相場に巻き込まれる恐れもあります。

「悪いニュースが出たから売る」という単純な思考だけでは、大口の思惑という予期せぬカウンターパンチに対応できません。

株式市場で着実に成果を上げるには、目の前の業績データだけでなく、「その悪条件に対して大口投資家や企業自身がどう動くか」という二次的な波及効果まで見通す視点が不可欠です。悪材料が出尽くした後の逆転劇に留意することが、リスクを回避し資産を守るための重要なノウハウとなります。