「今日こそやめよう」と思っていたのに、気づけばまた同じことをしている。寝る前についスマホを見てしまう、仕事中に何度もSNSを開いてしまう、必要もないのにお菓子に手が伸びてしまう――。そんな経験はないだろうか。実は、私たちが同じ行動を繰り返してしまう背景には、脳が行動を「自動化」する仕組みがある。一度習慣になった行動は、意識して決めなくても繰り返されるようになるのだ。人間の脳が同じ行動を続けてしまう理由を『すべて本能のせい』から解説する。(ダイヤモンド社書籍編集局)
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「やめよう」と思っても、また繰り返してしまう
毎朝、起きたらすぐにスマホを確認する。
仕事で少し疲れると、つい甘いものを食べる。
寝る前には、なんとなくSNSを開いてしまう。
こうした行動を振り返ってみると、必ずしも「今、これをしよう」と意識して決めているわけではないことに気づく。
むしろ、気がついたらすでに行動していた、ということも多いのではないだろうか。
習慣には、毎日の歯磨きや運動のように、生活を支えてくれるものもある。
一方で、できればやめたいと思っているのに、なかなかやめられない習慣もある。
では、なぜ私たちは、同じ行動を何度も繰り返すうちに、それを無意識に行うようになるのだろうか。
その理由は、脳の中で行動をコントロールする仕組みが変化していくことにある。
同じ行動を繰り返すと、脳内で何が起こるのか?
『すべて本能のせい』ではその仕組みを下記のように解説しています。
基底核、とりわけ「線条体」と呼ばれる場所は、数ある行動の中から「どれを選ぶか」を決め、それを「自動化」していくための役割を担っています。
私たちが新しい行動を始めたばかりの初期段階では、理性をコントロールする「前頭前野」が活発に働き、自分の頭で意識しながら選択を行います。
しかし、同じ行動を何度も何度も繰り返しているうちに、そのコントロールの主導権は、意識のエリアから基底核へと少しずつ移り、無意識の行動になっていきます。
この脳の仕組みを強化しているのが「報酬系」です。
行動した結果として、何らかの心地よさや報酬が得られると、脳はその行動のつながりをさらに強く記憶します。
この習慣は、「①きっかけ→②実際の行動→③報酬」という三つのステップのループとして、脳内にしっかりと刻み込まれます。
このループが一度安定すると、脳は「きっかけ」を目にしただけで、後の行動を自動的に引き起こすようになるのです。
悪い習慣を繰り返す「3つのステップ」
ここで注目したいのが、習慣をつくる「きっかけ」「行動」「報酬」という3つのステップだ。
たとえば、仕事中についスマホを見てしまう習慣について考えてみよう。
最初は、通知が届いたことをきっかけにスマホを開いただけだったかもしれない。
しかし、そこで面白い投稿を見つけたり、誰かからのメッセージを読んだりすると、ちょっとした楽しさや満足感が得られる。
すると脳は、「通知が来たらスマホを見る」という行動を、繰り返す価値のあるものとして学習していく。
これを何度も繰り返すうちに、通知音を聞いただけで、反射的にスマホへ手が伸びるようになることがある。
つまり、習慣になった行動は、そのたびに「やるべきか、やめるべきか」をじっくり考えて選んでいるとは限らない。
特定のきっかけと行動が、脳の中で強く結びついているのだ。
「意志の力」だけで習慣を変えようとしない
この仕組みを知ると、悪い習慣を変えるための考え方も少し変わってくる。
もちろん、何かをやめるためには、自分で行動を意識することも大切だ。
しかし、習慣が特定の「きっかけ」によって自動的に引き起こされているのなら、意志の力だけで我慢しようとするのではなく、きっかけそのものに目を向ける方法も考えられる。
たとえば、仕事中にスマホを何度も見てしまうなら、通知を切ったり、手の届かない場所に置いたりする。
寝る前にSNSを見続けてしまうなら、ベッドのそばにスマホを置かないようにする。
そうすれば、いつもの行動が始まるきっかけを減らせるかもしれない。
大切なのは、同じ行動を繰り返してしまう自分を責めることではなく、「どんなきっかけで、その行動が始まっているのか」を知ることだ。
無意識に繰り返している行動にも、脳が学習してきた理由がある。
その仕組みを理解することが、習慣を見直す第一歩になるのではないだろうか。



