自覚症状のないまま進行する「動脈硬化」の陰で、命を脅かす危機が密かに進行しているのをご存じでしょうか? 皮膚を保護するはずの「かさぶた」をつくる仕組みが、ひとたび血管内で発動すると一転して致死的なトラブルを引き起こすのです。著書『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』をベースに、体を守る防衛システムが生む恐ろしい誤作動のメカニズムと、突然死を防ぐ対策を紐解きます。

【脳の専門医が教える】​心筋梗塞・脳梗塞を引き起こす体内の“誤作動”ワースト1Photo: Adobe Stock

「かさぶた」が命を奪う?
心筋梗塞・脳梗塞を引き起こす体内の“誤作動”

「コレステロール値が高めだが、特に症状もないから大丈夫だろう」と軽く考えていませんか?

自覚症状がないまま進行する動脈硬化ですが、実は血管の内部では、いつ破裂してもおかしくない危機が密かに進行しています。

破裂の瞬間、体内で起きる「誤解」の連鎖

血管壁に入り込んだ余分なコレステロールを免疫細胞(マクロファージ)が食べ続けると、血管の内側はどのような状態になるのでしょうか。

コレステロールを溜め込んだマクロファージは、やがて自らが膨れ上がり、動脈の内部を圧迫して狭めていきます。これにより動脈硬化が悪化します。さらに恐ろしいのは、この膨らんだコレステロールの塊が、何かの拍子で弾け飛んだ(破裂した)ときです。体内システムは「緊急事態発生! 出血だ!」と再び誤解します。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

健康を守るはずの免疫細胞が、コレステロールを抱え込んで自爆するように破裂する――。この瞬間、私たちの体が備える非常に優れた「防衛システム」が、致命的な誤作動を起こしてしまいます。

皮膚ならありがたい「かさぶた」が、血管内では危険な「ダム」に!

破裂の通知を受けた体は、ただちに応急処置を行おうと動きます。

すると、“止血部隊”である血小板が傷口(と誤認した場所)に殺到し、あっという間に「血栓」という血の塊を形成します。これは、切り傷を塞ぐ「かさぶた」ができるのと同じメカニズムです。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

切り傷を負ったときに血を止めてくれる「血小板」は、本来なら命を救う頼もしい存在です。しかし、これが血管の内部で発動してしまうと、全く異なる悲劇を生むことになります。

皮膚の表面でならありがたい「かさぶた」も、血管の内部で生じれば、それは血流を完全に堰き止める「ダム」と化してしまいます。この致命的な栓が心臓の血管を塞げば「心筋梗塞」、脳の血管を塞げば「脳梗塞」。体を守るための精巧な仕組みが、皮肉にも命とりの一撃となるのです。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

突然死を防ぐために、今すぐできるアプローチ

体を守るための防衛システムが、皮肉にも自らの命を脅かす武器に変わってしまう。これが、心筋梗塞や脳梗塞が「ある日突然」発症する真のメカニズムです。この破裂と血栓の発生を防ぐために重要なのは、血管壁のドロドロの塊(プラーク)を不安定にさせないことです。

●急激な血圧上昇を抑える:高血圧は塊を破裂させる直接のトリガーになります。減塩に加え、寒暖差(ヒートショック)を避ける生活環境を整えましょう。
●血液をサラサラに保つ:青魚に含まれるEPAやDHA、十分な水分補給は、血小板が過剰に固まるのを防ぐ助けになります。

日頃のちょっとした意識改革が、血管内の「誤解」による惨劇を未然に防ぐ確実な一歩となります。