「相手がわかってくれない。もっと詳しく説明しよう」。そう考えて、どんどん話が長くなっていないでしょうか。伝え方がうまい人は、言葉を増やすとは限りません。ときには「見せる」だけで、一瞬で伝えてしまいます。本記事では、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』の中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

伝え方が下手な人は説明が長すぎる。「伝え方のプロ」は何をする?

「適量」を説明できますか?

 ふと見た料理番組で、こんな説明がされていたとします。

ふとテレビをつけたら、料理番組が放送されていました。
そこでは料理の先生が、言葉で解説をしていました。
「大根はこんなふうに乱切りで切っていきます」
「塩こしょうは適量。これくらいです」
言葉だけのレシピの場合、「乱切り」や「適量」がどういうものか、どの程度のものかを知らなければそこで立ち尽くしてしまいます。
料理に慣れている人はなんてことのないことですが、初心者にはわからない。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

「乱切りしてください」
 料理に慣れている人なら、これだけでわかります。
 でも、初心者は「乱切りって何?」となる。

 そこで言葉だけで、
「素材を回転させながら、切り口の面積が……」
 と説明を始めたらどうでしょう。
 説明はどんどん長くなります。

「適量」も同じです。
「多すぎず、少なすぎず、素材の量に合わせて……」と説明するより、もっと簡単な方法があります。

プロは「説明する」より「見せる」

ところが、映像で料理の解説をする場合は、「コレです」が使えるのです。
「乱切り」という言葉を使いながら、「こんなふう」に乱切りをやってみせる。
「適量」と言いながら、どれくらいの量かをちゃんと見せる。
知らない言葉でも、実際に見えると、その言葉の意味がわかるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

「乱切りとは何か」を100文字で説明するより、実際に大根を切って見せる。
「適量とは何グラム程度なのか」と細かく説明するより、手に取った塩を見せる。

 すると相手は、「ああ、それくらいね」と一瞬で理解できます。

 これが「コレ」の強さです。

 言葉で説明しにくいものほど、実物を見せたほうが早い。
 伝え方がうまい人は、この切り替えができるのです。

「言葉か、ビジュアルか」ではない

これぞ、ビジュアルコミュニケーションです。
言葉の説明だけではわからない人も、映像で見れば「そうやるんだ」とわかります。
分量がどれくらいなのかも、目で見て把握することができます。
コミュニケーションの手段は「言葉」だけでも、「ビジュアル」だけでもありません。
その「両方」を使うからこそ、パッと、的確に伝わるようになるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

「言語化なんて必要ない」という話ではありません。
「これが乱切りです」と言いながら、実際の乱切りを見せる。
 言葉とビジュアルが結びつくことで、相手は「乱切り」という言葉まで覚えられます。

 これは仕事でも同じです。
 操作方法なら画面を見せる。企画なら図を描く。完成イメージなら参考写真を見せる。

 伝わらないときに、説明を2倍にする必要はありません。
 伝え方のプロは、言葉を増やすのではなく、「見せられないか?」と考えます。

「説明する」と「見せる」。
 その両方を使える人ほど、短く、的確に伝えられるのです。

ヤギワタル
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。