9月23日、メタのマーク・ザッカーバーグCEOは開発者向けカンファレンス「Meta Connect」において、同社独自のAIソフトウェア「Muse」へのアクセスを可能にする小型デバイスを発表した Photo:JIJI
メタが発表したパーソナルAIエージェント「ミューズ」が、市場を揺らしている。旅行、金融、サブスク企業の株価まで反応した新サービスは、私たちの暮らしをどう変えるのか。急速な普及を阻みかねない「大きな壁」とともに読み解く。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
メタのAIに震える市場
放置されたサブスクにメス?
9月にメタが発表したパーソナルAIエージェントのミューズがアメリカで大きな話題を呼んでいます。日本での提供時期は現時点では未定ですが、アメリカではすでにサービス提供が始まっています。
興味深いのはミューズの評判が広まった直後の株価の動きです。メタの株価が大きく上がったのですが、それだけではありません。ミューズが本格的に経済を変えてしまいそうだという連想から急落した株が続出したのです。
株価が急落した銘柄は旅行予約のエクスペディアや銀行、保険、新聞、スポーツジムといった顔ぶれで、共通するのはAIエージェントで売上が減る可能性が懸念されることです。
これまでは他で予約したほうが航空券やホテルが安いかもしれないと思ってもいちいち比較するのが面倒だという理由からエクスペディア一択で利用をしてきた個人が、予約をAIエージェントに任せるようになるとそういった面倒な比較の仕事を全部やってくれるようになります。個人にとってはメリットですがエクスペディアには打撃です。
金融商品については個人の知識不足と、手続きの面倒さから、割高な商品を契約し続けている人は少なくありません。AIエージェントが銀行口座やカードの支払いをすべてチェックし管理してくれるようになれば、そういった切り替えるべき金融商品があぶりだされます。これは大銀行や保険大手にとっては打撃です。
そして興味深いのは新聞やスポーツジムまで打撃をうけることです。理由は使っていないサブスクがあぶりだされるのです。スマホのアプリの利用ログやスケジューラーをAIエージェントが見れば、使っていないサービスは簡単にあぶりだされてしまいます。
「じゃあこれとこれは解約しておいて」
とエージェントに頼めば簡単に解約できるとしたら?それは休眠会員からの収益がばかにならないサービス提供企業にとっては悪夢でしょう。
私は毎年2回、6月と年末にサブスクの棚卸をしていて、契約しているサービスを一覧表にしたうえで、あまり使っていないサービスを解約しています。ですからかなり無駄はなくなっていると思うのですが、この記事を書くために「まだ気づいていない無駄がないか?」を時間をかけて自力で確認してみました。
銀行口座の明細から引き落とされている複数のクレジットカードをトレースして、その支払い明細をひとつひとつチェックしていったところ、微妙に使っていないサービスが2つあぶりだされました。
どちらもドコモの提供するサービスです。すでに携帯はドコモを使っていないせいで見落としていました。カードが普段使わないサブのカードだったことも理由です。330円と550円のサービスで毎月の無駄は880円。
「たいした金額じゃないね」
と思うかもしれません。しかしこの使っていないサービスは少なくとも10年以上放置されていました。
計算してみるとわかりますが毎月880円ずつドコモに支払っていたお金は累計で10万円を超えます。私にとってはまったく使っている認識がなかった惰性の支出が携帯電話会社の収益を支えていた形です。こういったことに世界中の個人が気づく未来が始まったのでサブスクに依存する銘柄の一部に売りが出てしまったのです。
さて、メタのミューズは具体的にどう凄いのでしょうか?







