今さら「地頭」は変えられないと思われがちだが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
そんな木下氏が考える「一瞬で地頭が悪いと思われる人の特徴」とは? 本書から抜粋し特別配信する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「知頭」と「地頭」では学んでいる内容がまるで違う
本書を読み、地頭のいい人の考え方のクセ(思考アルゴリズム)を学ぶと、「なぜそんなことができるの?」と感じる人がいるかもしれません。
本書では、「知頭」と「地頭」が経験から何を学んでいるのか、その違いを整理しました。
実は、同じ「経験」という言葉を使っていても、知頭と地頭では、学んでいる内容がまるで違います。
今回は知頭が経験を積むプロセスを紹介しましょう。
知頭は、次のように経験を蓄積していきます。
・問いA→答え1
・問いB→答え2
・問いC→答え3
このように、「問い」と「答え」を機械的にセットで記憶するのが知頭の学び方です。
このとき、「なぜ、問Aの答えが1なのか」という理由までは深く考えません。
知頭の「経験」の学び方
具体例で見てみましょう。
次のような問いと答えのセットがあったとします。
・問いA「求人広告を出せ」
・答え1「求人媒体Zに出す」
・理由「今回の募集職種はシステムエンジニア(SE)で、求人媒体ZはSEによく見られているから」
・問いB「会食のお店を選べ」
・答え2「高級料亭Pを選ぶ」
・理由「今回は重要な取引先の社長接待だから」
・問いC「EC販売用ページをつくれ」
・答え3「安さとお得感を前面に出したページをつくる」
・理由「今回は売れ残り商品を在庫処分セールするためのページだから」
知頭は、これらを次のように「答えだけ」記憶します。
「求人広告なら求人媒体Z」
「お店を選ぶなら高級料亭P」
「EC販売用ページは安さとお得感を強調する」
では、これまでに経験のない新しい「問いD」に出合った場合、知頭はどう動くでしょうか。
問いD「コールセンター要員を採用するために求人広告を出せ」を見た瞬間、知頭は、「求人広告を出す」という表面的な共通点から「問いA」と似ていると判断。
「前回の求人媒体はZだったから今回もZに出そう」と結論づけます。
しかし、問いAの答えが1という理由は、「今回の募集職種はSEで、求人媒体ZはSEによく見られているから」という因果関係にありました。
SE向けに適した媒体と、コールセンター要員向けに適した媒体は本来別であるはず。にもかかわらず、その理由を理解しないまま、答え1を当てはめてしまうのです。
目的と真逆の選択をする「知頭」
同じことは、別の場面でも起こります。
問いDが「課の新入社員歓迎会をするお店を選べ」だった場合はどうでしょう。
知頭は、「お店を選ぶ」という点が「問いB」に似ていると判断。「高級料亭Pを選ぼう」と考えます。
しかし、問いBの答えが2という理由は、「重要な取引先の社長接待」だったからです。
身内である新入社員の歓迎会に高級料亭を選ぶのは、明らかに目的とズレています。
さらに、「問いD」が「高級感のある新商品を発売するためのEC販売用ページをつくれ」というケースも同様です。
知頭は、「EC販売用ページをつくる」という共通点から、この問いを「問いC」と似ていると判断。「前回、安さとお得感を前面に出したから今回もそうしよう」と考えます。
しかし、「問いC」の答えが3という理由は、「在庫処分セール」だったからです。
高級感を売りにする新商品で安さを前面に出すのは、目的と真逆の選択になります。
このように知頭は「前もそうだったから」という理由で過去の答えをそのまま当てはめる。過去と似ている形を見つけ、同じ答えを選ぶ。これが知頭モードの基本的な動きです。
では、問いA~Cの中に、問いDに似たものが見つからなかった場合はどうでしょう。
この場合、知頭は、誰かに聞き、その答えをそのまま採用します。
理由は、「◯◯さんがそう言っていたから」。
「知頭」の何が問題か
人に聞くこと自体は悪いことではありませんが、問題なのは、聞いた答えを自分の基準で考え直さないこと。これが知頭での経験の積み方です。
自社で求人広告を出した経験がない場合、知頭はとりあえず知っている求人サイトに問い合わせ、提示されたメニューの中から選びます。
その媒体が「今回の求人に本当に合っているのか」「費用に見合う効果が期待できるのか」という判断基準はありません。
結果として、検証・改善できないまま、次の判断を迎える。これが、知頭で経験を積むということです。
要するに、1000の問いに答えるには1000通りの「問いと答えのセット」を知らなければ正しい答えを出せない。
今までにない問いに対して新しい答えを生み出せず、「経験の数=できる仕事の数」になっています。よって知頭では、「経験が多いほど仕事ができる」と捉えています。
逆に言うと、「経験がないとできない」と思っています。
この限界を超えるために必要なのが、次回見る「地頭の経験の学び方」です。








