メディアプラットフォーム「note」を運営するnote株式会社は、2026年10月に第3四半期決算を発表しました。売上高は40.6億円で33.2%アップ(前年同期比)。一方、営業利益は8.5億円で567.0%アップとなっています。売上が3割ほど増える一方で、なぜ営業利益は6倍以上に伸びたのでしょうか? 今回は書籍『サンキー図で「お金の流れ」が1秒でわかる 見るだけ決算書』に登場するサンキー図を使って、note社の2期分のPLを比較しながら、その背景を読み解いていきます。

売上は33%増、営業利益率は4.2%から20.9%へ

まずは、前期と今期の第3四半期決算(12月~8月の9か月累計)を比べてみましょう。

note社のPLサンキー図(上:2025年11月期 第3四半期、下:2026年11月期 第3四半期)note社のPLサンキー図(上:2025年11月期 第3四半期、下:2026年11月期 第3四半期)

2枚のサンキー図を見比べると、営業利益の帯の太さがまるで違います。前期は売上高30.5億円に対して、営業利益は1.3億円。営業利益率は4.2%でした。一方、今期は売上高が33.2%増の40.6億円。営業利益は8.5億円となり、営業利益率は20.9%まで上昇しています。この9か月で、すでに上場後の年間最高益を上回っています。

ではここで、PLの各項目のうち、どこが大きく変化したのかを見てみましょう。

増収10.1億円の74%はメディアプラットフォーム

次のサンキー図は2期分のPLの増減(差分)を示したものです。前期と比べて増えた項目は青色、減った項目はピンク色で示しています。

※収益・費用項目のうち、増減額の大きい項目を濃くハイライトしています。※収益・費用項目のうち、増減額の大きい項目を濃くハイライトしています

最も増減額が大きかった収益・費用項目は「メディアプラットフォーム事業」の7.5億円増です。主力サービス「note」や法人向けの「note pro」を含む本業で、売上高の増加10.1億円の74%を占めます。また、今期から新たに「AI関連事業」が加わり、約2.5億円の売上を計上している点も大きな変化のひとつです。

売上は順調に伸びています。ただし、利益が6倍以上に増えた理由を考えるうえでは、増えた項目だけではなく、あまり増えなかった項目にも注目する必要があります。

利益成長のカギは「ほぼ横ばいだった販管費」

(販管費)

前期の販管費は27億2,846万円、今期は27億6,131万円。売上高が約10.1億円増えている一方、販管費の増加額は約3,300万円にとどまりました。

販管費の増加を抑えられた背景として、note社はAI活用による生産性の向上を挙げています。具体的には、生成AI「Claude」を全社員に配布し、開発のリードタイム短縮をはじめ、さまざまな業務で生産性が向上したと説明しています。さらに、AI活用の推進によって人件費や業務委託費の抑制にもつながっているとしています。
つまり、note社の営業利益が6倍以上に伸びた背景には、売上成長に加え、こうした生産性の向上によって販管費の増加を抑えられたことがあるとみられます。

決算書では、どこが増えたかと同じくらい「どこが変わらなかったか」も重要です。note社の場合、売上が大きく伸びる一方で販管費はほぼ横ばいでした。こうした変化しなかった項目にも注目することで、企業の変化をより正確に読み解けます。