決意がそのまま
行動の変化に繋がるのか
その言葉を考える前に、1つ興味深い研究を見てみよう。
心理学者トーマス・ウェッブとパスカル・シーランが2006年に発表した研究「行動する意図を変えれば、行動も変わるのか」が、かなりはっきりした答えを出している。
2人は、47件の実験結果をまとめて、「やろう」と思う気持ちが強くなったとき、実際の行動も同じように変わるのかを調べた。
結果は、かなり違った。行動を変えようという意識には大きめの変化が出たが、実際の行動の変化はそれよりかなり小さかった。効果の大きさを示す数値では、意図の変化がd=0.66、行動の変化がd=0.36だった。
つまり、「次はやろう」「今度こそ気をつけよう」と本気で思っても、その決意がそのまま行動の変化になるわけではない。
職場では、この差が見えにくい。叱られた直後は、本人の態度が変わるからだ。声が小さくなり、メモを取り、何度もうなずく。上司は「伝わった」と感じる。だが、数日後に同じ種類の仕事をするとき、前回と違う手順が残っているだろうか。そこが問題だ。
「一部の人はずっと反省している」
豊田章男の強烈な指摘
豊田氏がNGワードに挙げた2文字は「反省」である。
2021年の「品質の豊田章男塾」で、豊田氏は「何か私が指摘すると『反省する』という言葉が返ってくることが多い」と語った。そのうえで、「12年間社長をやっていて、一部の人はずっと反省しているんですよね。だけど、全然変わっていない」と続けた。豊田氏は、「反省」「反省します」「反省する」という言葉そのものを嫌ったのではなく、反省を口にしながら次の仕事が何も変わらない状態をNGとしたのだろう。
もちろん、ウェッブらの研究は、「反省」を調べたものではない。「反省する人は仕事ができない」と証明した研究でもない。分かったのは、人が何かをしようと決めても、それだけでは行動は同じほど変わらないということだ。これは仕事でも思い当たるところがある。







