完璧を求めすぎて仕事を終えられない。やらなければいけないことを先延ばししてしまう。そんなときの対処法を、『おい、とりあえず終わらせろ』の著者、nwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

 任された仕事を張り切って、「完璧にこなそう」と思うのは良いことだと思われがちです。

 もちろんその心がけはいいのですが、わからなくて立ち止まったままになると、仕事が滞ってしまうことも事実。

 そこで私が提案しているのは、100点ではなく「60点を積み重ねる」という方法です。

 ただ、「60点で出す」と口で言うのは簡単ですが、「何が60点か」はやってみないとわかりません。

 新人の頃の私は、60点を「自分が恥ずかしくないライン」だと思っていました。

 ところが、名前のスペルから図表の見出しの位置まで気になりだし、結局80点を目指してしまう。何も変わりませんでした。

 そこで「とにかく出す」と振り切ったら、レビューアーに「何を見ればいいのかわからない」と返され、全面やり直しになりました。どちらも失敗でした。

どの欠陥を許容するかを選ぶ

 では、60点の正体とは何か。

 それは、「どの欠陥を許容するか」を能動的に選ぶ行為です。欠陥をゼロにしようとするのではなく、どの欠陥なら今回は許容できるかを選ぶのです。

 システム設計の世界に、CAP定理という有名な法則があります。「一貫性」「可用性」「分断耐性」という3つの性質を、同時には満たせないというものです。

 必ずどれかひとつを諦めるしかありません。技術力の問題ではなく、どれだけ優秀なエンジニアが束になっても、3つ全部は取れないのです。

 だから設計者の仕事は、3つを追いきることではありません。何を諦めるかを自分で選び、それを宣言することです。

 60点で出すというのも同じです。欠陥を見て見ぬふりをすることではなく、「今回はこれを諦める」と決め、その判断を記録に残すのです。

手を抜いたのではなく、「捨てるものを選んだ」

 例えば、ある画面で、2人が同時に更新したときの挙動が怪しい場面があったとします。

 ここで一貫性(どこから見ても同じデータが返ること)をどこまでも優先しようとすれば、直すのに3日かかり、出すことが遅れます。でも、この状況が起こる確率は、月に1回あるかないかです。

 CAP定理の考え方を借りれば、こう選べます。

「今回は一貫性を一部諦めて、まず動くものを届ける側を取る。同時更新は既知の問題として残し、発生したら手で直す。来月の作り直しで引き直す」。

 これは手を抜いたのではなく、捨てるものを選んだ設計判断です。

完璧主義とは、「全部取り」を狙い続けること

 その点、完璧主義は、原理的に無理だとされている「全部取り」を、それでも狙い続ける態度です。

 3つ全部を守ろうとして、結局どれも選べず、いつまでも出せません。「ここは磨く、ここは今回捨てる」と仕分けるには、何が本質で何が枝葉かを見極める判断が要ります。

 言い換えれば、「スコープを絞る」ということ。この仕分けを事前に言語化するのです。

 責任範囲が広がり、時間も有限になるほど、全部は拾えなくなります。

 ぜひ今日の仕事で「今回は諦めること」をひとつ書き出し、理由をひとこと添えてみてください。

 一気に仕事が回り出すはずです。