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地頭のいい人を採りたい。採用の現場でよく聞く言葉ですが、地頭がいいとは一体どういう状態なのか、はっきり答えられる人は実はほとんどいません。これまでの経歴や学生時代の経験を聞くだけの定番の面接では、候補者がその場で考える力はなかなか見えてこないものです。地頭の正体と、それを見抜くための質問の仕方、そして採用基準としての地頭の位置づけについて、人事・採用コンサルタントが解説します。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)
頭の回転が速そうな人が
地頭のいい人とは限らない
地頭のいい人を採りたい――採用の相談でよく口にされる言葉です。
ところが、地頭がいいとはどういう状態を指すのかを聞き返すと、明確に答えられる人はほとんどいません。面接でテンポよく話せた、気の利いた応答ができたという事実をもって、地頭がいいと評する人もいますが、突き詰めると単に「ノリ」がいいだけかもしれませんし、体育会系の環境で先輩とうまく付き合ってきた経験の表れにすぎないかもしれません。
地頭という言葉は評価する人それぞれの感覚で、あいまいなまま使われていることが多いのです。
私は地頭のよさを次のように定義しています。持っている知識や経験の量の多さではなく、潜在的な頭の回転の速さ、論理的思考力、批判的思考力、そして知的体力です。
知的体力とは、深く考え続ける力のことです。いずれも学歴や資格だけでは判断できない、まだ形になりきっていない処理能力で、単なる物知りや高学歴とは違います。だからこそ、面接で見抜くのは簡単ではありません。
なお、地頭のよさを見抜くのは、中途採用より新卒採用のほうが難しいとよく言われています。中途採用には、これまでの実績や仕事の成果、経験といった判断材料がある一方、社会人経験のない新卒には、そうした材料がほとんどありません。
しかも、新卒の面接で定番の質問は、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)や志望動機、成功体験、自己PRで、どれも事前に入念な準備が可能です(もちろん、中途でも、これまでの職務経験を時系列で教えて下さいという定番の質問は、職務経歴の確認や候補者の強みを知るうえでは有効ですが、聞かれるとわかっているので、候補者はエピソードを磨き上げて臨んできます)。
いずれにせよ、準備された話を聞くだけでは、上手に答えられる人と、その場で考えられる人とを混同しやすいことは心に留めておく必要があります。
その場で考えさせるなら、フェルミ推定※1やケース面接※2があるではないか、と思うかもしれません。コンサルティング会社などがよく使う手法で、過去の話ではなく、その場で考えてもらえる点で一定の効果があります。
ただし弱点もあります。まず、対策本や問題集が広く出回っているため、対策をしてきたかどうかの差が思考力の差に見えること。また、コンサルティング会社でもないのに脈絡なくそうした難問をぶつけると、候補者の心理的安全性が損なわれ、圧迫面接と受け取られかねないことです。
緊張して萎縮すれば、本来考え抜ける人も実力を出せなくなります。日本に電柱が何本あるかといった問題は、正確な本数を答えることが目的ではないのに(面接官も答えは知らないでしょう)、候補者は正しい答えを探そうとして、いつの間にか正答当てのゲームになってしまうのです。
もし使うなら、必ず先に意図を説明し、考えながら話してもらってかまわない、途中で前提を質問し直してもいいなどと伝えておくべきでしょう。
とはいえ、こうした特殊な問題を解かせなくても、過去の経験の聞き方を少し変えるだけで、地頭のよさは見えてきます。







