部下を厳しい表情で見つめる中高年の上司写真はイメージです Photo:PIXTA

「仕事ができる人ほど出世する」は、会社にとって正解とは限らない。イグノーベル賞を受賞したイタリアの研究チームが、昇進の仕組みを数学的にシミュレーションしたところ、驚きの結果が明らかになった。※本稿は、サイエンスライターの五十嵐杏南『ヘンな科学 “イグノーベル賞”研究42講』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

「優秀な社員」が出世すると
なぜ問題が起きるのか

「ピーターの法則」について聞いたことはあるだろうか。組織の労働についての法則で、1960年代に提唱された。職場で、「なんであんな“でくのぼう上司”が出世できたのだろう?」と思っている多くの人は、この法則に納得ができるはずだ。

 ピーターの法則は、もともとは優秀だった人が役立たずの管理職と化してしまう仕組みを、次のように説明している。

 階層のある組織の中では、優秀な人が抜擢されて出世する。しかし新しい役職では以前と必要なスキルが異なるため、無能になってしまう場合もある。出世してもたまたまその役職に必要なスキルを持ち合わせている人もいるので、従業員たちは無能になるまで階層を上り続けることになる。

 つまり、無能なヒラ社員はその無能さゆえにずっと同じ階級に居座り、有能な社員は無能なマネージャーと化すまで地位を上り詰めていく。こうして、組織全体が無能な人たちで蔓延するというのだ。

 ならば、どうやって出世する人を選べばいいのか?その方法を、数学的なシミュレーションを使って考え抜いた研究者がいる。