ダース・ベイダーダース・ベイダー Photo:Justin K. Aller/gettyimages

「バッタに『スター・ウォーズ』を見せたら、ダース・ベイダーに反応した」「キツツキは1日に1万2000回も木をつついて、なぜ平気なのか」。冗談のようだが、どちらも科学者が真剣に取り組んだ研究だ。人々を笑わせ、そして考えさせる研究に贈られる「イグノーベル賞」には、生き物の意外な能力や謎に迫った研究も数多くある。思わず笑ってしまう実験の先に見えてきた、驚きの科学的発見とは?※本稿は、サイエンスライターの五十嵐杏南『ヘンな科学 “イグノーベル賞”研究42講』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

バッタに『スター・ウォーズ』を
鑑賞させる科学者の奇妙な実験

 世界中に多くのファンがいる映画『スターウォーズ』シリーズ。バッタですら興奮するというのだから、人間が興奮するのも当然のことなのかもしれない。

 2005年の平和賞は、バッタに『スターウォーズ』を鑑賞させて、脳細胞の活動を測った研究に贈られた。

 研究を行ったクレア・リンド博士は長年にわたり、飛翔する性質を持つ昆虫のバッタやカマキリが、なぜ飛翔時に障害物に衝突しないかを研究してきた。

 リンド博士が注目したのは、バッタの目と脳だ。一般的に、物体がある生物に向かって急接近すると、その生物の網膜には急に拡大する刺激が加わる。このような刺激に反応する脳細胞はいろいろな生物が持ち、天敵などが正面から迫ってきた時や、障害物を避ける時に役立つ。

 なかでも詳しく研究され、知見が豊富に溜まっているのがバッタの脳細胞だ。リンド博士は、バッタの脳細胞の仕組みを「車の衝突回避システム」の開発に活用した。さらに、監視システムに使われる技術や、ビデオゲームのプログラミングにも応用できるという。