完璧を求めすぎて仕事を終えられない。やらなければいけないことを先延ばししてしまう。そんなときの対処法を、『おい、とりあえず終わらせろ』の著者、nwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろ動けないPhoto: Adobe Stock

やるべきことはわかっているのに、手が動かない

 会議を終えて席に戻ると、部下から相談のチャットが届いている。

 返信しているうちに、上司から進捗確認が入る。

 目の前の用件を片づけるだけで、午前中が終わってしまう。

 午後こそは、任されている大きな案件を進めよう。そう思って資料を開いたのに、どこから手をつけるか決められない。

 ゴールはわかっている。やるべきことも見えている。それなのに、手が動かない。

 ひとつの案件を進めようとするだけでも、考えることが次々に浮かんで、「これを決めるには、先にあちらを確認しないと」と考えているうちに、また別の仕事に呼ばれる。

 一日中忙しくしていたのに、大事な案件はほとんど進んでいない。

 そんなとき、「もっと集中しなければ」「自分の段取りが悪いのか」と、責めたくなるかもしれません。

 でも、手が止まるのは、一度に処理しようとしていることが多すぎるからではないでしょうか。

「案件全体」と「今やる作業」を分ける

 頭の中で同時に扱える情報には、限りがあります。案件全体を抱えたまま、その場で何もかも解決しようとすると、最初の一歩さえ選びにくくなるのです。

 大きな仕事を着実に進める人は、目の前の作業を小さく分けています。

「新しい施策をまとめる」では、まだ大きい。「次の打ち合わせで確認したいことを3つ書き出す」なら、何をすればいいかが見える。

 全体のゴールを見失わずに、今やることだけを小さくする。その切り分けが大事なのです。

 私にも、それができずに立ち止まった経験があります。システムの大規模な作り直しを任されたときでした。

 やるべきことは、わかっていました。「設計を整理する」「動作確認を増やす」「不要な部分を消す」。でも、どれも動き出せない。

 どのファイルから開けばいいのか。1か所直したら、別の場所が壊れるかもしれない。機能のつながり、検証作業、設計全体、リリース、手順書。考えることが、一度に押し寄せていました。

 数日たっても状況は変わらず、夜、非常灯だけが点いたフロアで、「もう無理だ」と椅子にもたれました。

「図を描くだけ」と決めたら、手が動いた

 翌朝、ひとつだけ選んでみました。

「依存関係の図を描くだけ」。

 図を描くだけなら、動いているシステムには触れない。何かを壊す心配もありません。そう決めた瞬間、手が動き出しました。

 次に選んだのは、もう使われていないプログラムをひとつ消すこと。動作確認を走らせて、問題なし。小さな達成感がありました。

「終わった」という感覚が生まれて、「次もやれる」という手応えが残った。午後にもうひとつ。翌日に3つ。数日で、大量の不要なプログラムを消せました。

 振り返ると、「巨大な作り直し」という怪物は、小さな作業の集合でした。ひとつずつ取り組める形にしたことで、ようやく進められたのです。

 仕事が進まないときは、根性を出し直す前に、今のタスクを見直してみてください。「何をするか」に加えて、「どこまでやれば、その作業は終わりか」が言えるでしょうか。

 言えないなら、もう少し小さく分けてみる。

 次の打ち合わせの論点を3つ書く。確認したいことをひとりに送る。関係者のつながりを図にする。

 今日、案件全体を終わらせなくてもいい。まずは、終わったと言える作業をひとつ作る。そこから、次の一歩が見えてきます。