「今回は違う」は通用せず、AI株高の変調が警鐘Photo:picture alliance/gettyimages

 ここ数日、人工知能(AI)関連株は大きく売り込まれた。インフレの加速が資金調達コストを押し上げ、負債に依存したデータセンター投資を脅かしているためだ。投資家は、数兆ドル規模の設備投資への期待が頓挫しかねないという、AIを巡る大きなリスクの一つに敏感に反応した。だが、さらに大きなリスクが存在する。それは、データセンターの建設が全速力で続いていることだ。

 莫大(ばくだい)な利益は、これらのリスクを覆い隠すと同時に、株式を購入する多くの投資家を安心させるのに一役買っている。

 この利益そのものは幻想ではない。しかし、それが安心材料となるのは、伝説の投資家ジョン・テンプルトンが言った「投資において最も危険な四つの言葉」、すなわち「今回は違う(This time it’s different)」を信じ切れる場合だけだ。

 AI関連の大規模投資が、鉄道やインターネットなど過去の巨大資本プロジェクトが抱えた問題を回避できるかはまだ分からない。少なくとも今のところは、今回も違いはない。

 まず利益から見てみよう。ある企業の設備投資は、他企業の売上高を生み出す。データセンター建設ブームは至る所で巨額の売上高を生み出している。AIに必要なあらゆるもののメーカーは、半導体や冷却設備、ケーブル、予備発電機、タービンなど多数の供給品の価格を引き上げることができ、売上高が急増するに伴い利益率も高まっている。

 だが、これは一時的なものだ。数年後に大規模建設が一巡すれば、追加の設備投資は一気にしぼむ。維持・修理・改修にかかる費用は、新規建設よりはるかに小さいためだ。

 投資家はこれを理解しており、議論の中心は「利益が高水準を維持できるかどうか」ではなく「高水準をどれだけ長く維持できるか」にある。これは株価にも表れている。確かに株価は上昇したが、利益の急増ぶりを考えれば上昇幅は控えめだ。投資家は利益の多くが一時的なものだと分かっている。