Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages
株価も業績も二極化が続いている。AI銘柄を中心とする「モメンタム」相場に乗り遅れた個人投資家はどうすればいいのか。「FOMO(取り残される恐怖)」に支配されて冷静な行動が取れなくなると、「高値づかみ」をするリスクもある。そこで注目したいのが6月18日に発表されたフジクラの上方修正だ。連載『株式相場の歩き方』の本稿では、フジクラの上方修正をヒントに、今から期待できる王道の投資術をお届けする。(株式コメンテーター 岡村友哉)
AI相場、阿呆になって乗らなきゃ損損!?
乗り遅れた投資家の正しい行動とは?
6月23日は9日ぶりに大きな下落となったものの、世界の株と比較しても圧倒的な強さを見せている日経平均株価。再着火の起点になったのは6月15日(日経平均は前日比3297円高)の「米国とイランの戦闘終結の合意報道」でした。
最初に発信したのはトランプ米大統領です。自身の運営するSNSで「合意が成立した」と発表したことにより、朝から猛烈なショートカバー(日経平均の売りポジションを持っていた投資家による買い戻し)が殺到して、すさまじい上昇劇を演じました。
米メディアによると、トランプ氏が「合意が近い」などと主張したのはこのときで(少なくとも)39回目だったようです。よく数えたなと思いましたが、これまで38回については、そのほとんどを市場は好感し、終戦期待を高めることで株価は上昇していました。39回目の今回は「合意成立」という本丸的な発言ではありましたが、「まだこんなに好感するのか」と思った人も多かったはずです。
17日に米国とイランが和平合意で前倒し署名をしたこともあり、6月第3週(15~19日)の日経平均は5日連続で上昇。16日に初めて7万円を突破すると、19日には7万2000円に迫りました(22日には最高値7万2353円を付けました)。
毎回同じことを言っているようですが、日経平均は史上最高値にあるため、上値を買う担い手にはショートカバーも少なくありません。ですが、ショートカバーを誘発するための上値を買う担い手もいるわけで(おそらく外国人投資家)、本当に日経平均はすごいことになっていたわけです。
6月第3週の週間上昇幅は5230円です。これは史上最大です。もちろん日経平均自体が高値を付けているため、過去より値幅が大きく出るのは当然ですが、すさまじい買いエネルギーがかかり、時価総額の膨張を起こしていることに違いはありません。
伝説のアベノミクス相場である2013年、この年の年間上昇幅は5896円。その1年間の上げ幅分すら「今は数日で達成」してしまうわけです。
イラン情勢以外にも、リスクとして市場で警戒されたイベントに6月12日の「米スペースXのIPO(新規株式公開)」がありました。史上最大のIPOが登場するということで、上場前から他の株に換金売りが多いと想定されていたわけです。
上場後も「他の株が売られることで需給を乱すかも……」、という警戒もありましたが、この史上最大のIPOも順調に通過。また、中央銀行による金融政策決定会合など、政策判断が集中する「中銀ウイーク」もECB(欧州中央銀行)理事会、日銀(日本銀行)会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)と波乱なく(事前予想通り=コンセンサス通り)通過しました。
FOMCはケビン・ウォーシュ新FRB議長の最初の登壇ということで、何か失言があれば株が急落するかも?という声が出ていました。それらの警戒材料を乗り越えたわけです。
史上最大のIPO、中銀ウイークを乗り越えて、日本株は急騰したように見えます。でも、本当にそうでしょうか。
実際は、FOMCより大事だったのって「FOMO」ではないでしょうか?
「FOMO」は、英語で「Fear Of Missing Out」の頭文字を取った造語です。取り残されることへの恐怖を表現していて、最近の相場でよく使われるようになりました。
エフオーエムオーではなく、「フォーモ」と読みます。フォーモが支配するようになると、冷静さやクレバーさは否定され、「阿呆(あほう)になって乗らなきゃ損損」的なマインドを求められます。
日経平均をこの水準まで導いた原動力は、値がさの半導体株であることは広く知られています。生成AIデータセンター向け需要の恩恵を受ける企業群で、今はシンプルに「AI株」と呼ばれています。
その爆上げしてきたAI株ほどさらに上がり、まったく恩恵を受けない(どころか下がってきた)株も多い非AI株(AI株ではない株)はさっぱり上がらない(どころか下がる)。これを積み重ねることで、パフォーマンスに天地の差が生じ、それが劣等感や焦燥感になります。
AI株ブームに「自分も乗らないとヤバいぞ……」。これがFOMOです。
出遅れを認識しつつ、AI株に今から乗るべきか、乗らざるべきか。正解は分かりませんが、「こんなところから今さら入れない」が乗れなかった投資家の総意だと思います。
では、AIバブルに乗れなかった投資家はどうすればいいのでしょうか。実は19日、面白い動きがありました。
株価や業績だけでなく、個人投資家のパフォーマンスも二極化する相場展開が続いている。次ページでは、AI相場に乗れなかった投資家にとってヒントになる「19日の動き」を解説。また、その動きをヒントとして浮かび上がった「出遅れ感が強烈に強い銘柄リスト」についても公開する。







