ラグジュアリーカーの市場で、トヨタはメルセデス、BMWをはじめとするさまざまな有名ブランドとの競争に直面していた。真っ向勝負にひるむことなく、トヨタは新たなブランド、レクサスを打ち出し、他のトヨタ車のお買い得モデルとは心理的にかけ離れた印象を与えることを目指した。メルセデスやBMWを上回る技術力を誇示することによって、レクサスに対する信頼性や品質に対する懸念をすべて払拭したいと考えた。

 そうしたトヨタの答えが、レクサスLS400(日本名セルシオ)になった。開発には7年の歳月と、開発費20億ドル、エンジニア1400人、機械技術者2300人、プロトタイプ450台が必要だった。そこから生まれた特許件数は200件にのぼっている。アメリカ、ドイツそしてイギリスの道路を模して精密につくられた日本のテストコースで試走を繰り返した。コースに外国の道路標識までつくってしまうほどの念の入れようだった。

 トヨタは現在、日本で圧倒的なシェアを持つ、世界第2位(ゼネラルモーターズに次ぐ)の自動車会社だ。毎年アメリカで150万台近くを販売している。1994年、豊田英二は社長の座を後進に譲った。

著書/関連書
「トヨタ生産方式」
大野耐一 著(1978年発行 ダイヤモンド社)

「決断 ~私の履歴書~」【日経ビジネス人文庫】
豊田英二 著(2000年 日本経済新聞社)

プロフィール
1913 誕生
1933 いとこの豊田喜一郎が自動車の製造を開始
1936 豊田自動織機製作所に入社。その後その自動車部がトヨタ自動車工業となる
1950 ミシガン州ディアボーンにあるフォードのリバールージュ工場を見学
1955 クラウンを発売。日本では成功するが、アメリカでの販売は不振だった
1967 トヨタの社長に就任
1968 アメリカでカローラを発売、成功をおさめる
1975 アメリカでフォルクスワーゲンを抜き輸入車ナンバーワン企業となる
1989 高級車レクサスを発売
1994 引退