元日銀総裁の白川方明元日銀総裁の白川方明 Photo:NurPhoto/gettyimages

元日銀総裁の白川方明と
2人のアサヒビール元社長

 高度経済成長をけん引した北九州工業地帯。福岡県立小倉高校はその中心・北九州市小倉北区にある。明治時代に設立された旧制県立小倉中学校を前身とする伝統校だ。

 商工業都市にある高校らしく、経済界で活躍する卒業生を数多く輩出している。

 第30代日本銀行総裁を務めた白川方明(まさあき)が、小倉高校を経て東京大経済学部卒だ。日銀プロパーの学究肌で、京都大教授を務めるなど金融政策の著書も多い。シカゴ大大学院でミルトン・フリードマンの講義を受けた。

 日銀の総裁人事は大蔵省OBと日銀たたき上げが交代で務める「たすき掛け人事」が続いてきた。28代、29代の総裁は2代続けて日銀OBが就任していたので、30代は大蔵省(現財務省)OBが就くと目されていたが、当時は与野党のねじれ国会だったのでなかなか決まらず、結局、副総裁の白川が2008年4月から30代総裁になった。

 白川はデフレ脱却に腐心したが、13年に大蔵省出身の黒田東彦(東京教育大附属駒場高校・現筑波大附属駒場高校―東大法学部卒)に31代総裁の座をバトンタッチした。

 アサヒビールのトップを務めた後、畑違いのフィールドで活躍した小倉高校OBが2人いる。メインバンクの住友銀行から派遣された旧制卒の5代目社長・村井勉(東京商科大・現一橋大卒)と、プロパーの営業マンだった8代目社長の福地茂雄だ。

 アサヒビール会長になるとともに村井はJR西日本(西日本旅客鉄道)初代会長に、福地はNHK会長に就いた。福地は小倉高校では商業科卒(その後、同科は福岡県立小倉商業高校となる)で、長崎大経済学部に進学した。2024年に死去した。