「実は、がんと診断されました」。部下から突然そう打ち明けられたら、上司はどう対応すればいいのでしょうか。治療のことを詳しく聞くべきなのか、それとも仕事の話は控えたほうがいいのか。本人を気遣うあまり、何を言えばいいのかわからなくなる人もいるでしょう。しかし、上司の対応次第で、部下が抱える仕事や生活への不安を和らげられることもあります。では、部下から「がんと診断されました」と言われたとき、上司がまずやるべきことは何なのでしょうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その対応を解説します。
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病気と仕事を両立する人は、これから増えていく
人手不足を背景に、定年等を引き上げる会社が増え、60代後半や70代になっても働き続ける人は珍しくなくなりました。
働く期間が長くなれば、在職中に病気と向き合う人も増えていきます。
がんの治療をしながら働く人も、その一人です。
部下から「初期のがんと診断されました」と打ち明けられる日は、どの職場にも来る可能性があります。
なお、2026年4月からは、職場における治療と就業の両立支援の取組が、事業主の努力義務となっています。
本人が抱えているのは、体の不安だけではない
診断を受けた本人は、体のことはもちろん、こんなことも考えています。
「このまま仕事を続けられるのか」
「休んだら、収入はどうなるのか」
「どのくらい休めるのか。休んだあと、戻る場所はあるのか」
上司が病気を治すことはできません。でも、こうした仕事や生活の不安なら、支えられる部分があります。
上司が伝えられる、具体的なこと
たとえば、治療のために仕事を休む場合。
健康保険に加入していれば、要件を満たすと傷病手当金の対象になります。おおむね給与の3分の2が支給されます。期間は通算で1年6カ月です。
また、会社に休職制度があれば、どのくらいの期間休めるのか、休職中の扱いはどうなるのかも伝えられます。
休職制度の有無や期間は会社ごとに違います。人事や総務と確認しながら、本人にわかる形で伝えることが大切です。
休まずに治療を続ける場合でも、通院日の休み方、勤務時間、業務量の調整など、話し合えることはあります。職場の誰にどこまで伝えるかも、本人の意向を確認しておきたいところです。
制度の説明だけで終わらせない
ただ、制度を並べて説明するだけでは、本人の心までは軽くなりません。説明が一通り終わったら、こう伝えてください。
「仕事のことは、一緒に考えていこう」
一人で全部決めなくていい。困ったときに相談できる相手がいる。その感覚があるだけで、本人は治療に気持ちを向けやすくなります。
病気のことは、医師に任せるしかありません。でも、仕事や生活費のことなら、会社と上司が一緒に背負える部分があります。
こうした支え方も、大事なリーダーのふるまいです。








