「毎日忙しく働いているのに、なかなか成果が出ない」「次から次へと問題が起きて、仕事が終わらない」。そんな悩みを抱えている人も多い。しかし、同じように仕事のトラブルに直面しても、少ない労力で大きな成果を出せる人がいる。その違いはどこにあるのだろう。『世界の役員が教えてくれたこと――「仕事に追われる人生」で終わらない生き方』が、その答えを教えてくれる。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
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問題解決ばかりで「成果が出ない人」の共通点
取引先からクレームが入れば、すぐに対応する。部下がミスをすれば、代わりにフォローする。予定外の仕事が発生すれば、残業してでも片づける。
もちろん、問題に素早く対応することは大切だ。
しかし、こうした働き方を続けていると、いつまでたっても忙しさから抜け出せなくなることがある。
たとえば、同じようなミスが何度も発生する職場。そのたびに担当者が謝罪し、修正作業を行う。上司もフォローに入り、なんとか問題を解決する。
ところが、しばらくすると、また同じミスが起きる。その場では問題を解決できても、根本的な原因が残っているからだ。
本人は一生懸命働いている。周囲からも「対応が早い」「頼りになる」と評価されているかもしれない。
しかし、目の前の問題を解決することと、問題が起きないようにすることは、まったく別の話である。
目の前の問題に対処するより「原因」を探す
では、仕事ができる人は、繰り返し発生する問題にどう向き合っているのだろうか。
『世界の役員が教えてくれたこと』では、こんなエピソードが紹介されている。
ある会社に、こんな部署がありました。
毎年3、4人の若手を採用するのですが、毎年ほぼ同じ人数が辞めていく。
人事責任者は手をこまねいていたわけではありません。退職者面談を丁寧に行い、研修プログラムを充実させ、採用予算も増やしてきました。
「若手の価値観が変わってきた」「業務内容が地味で魅力が伝わりにくい」と、原因を多角的に分析し、対策を打ち続けていました。
担当役員はある日、人事責任者にこう問いかけました。
「過去5年で、その部署を辞めた人たちの上司は、何人いましたか?」
人事責任者は資料をめくり、しばらく考えてから答えました。
「Aさん1人ですね。形式上は2人ですが、もう1人は数か月だけの兼務でした」
役員は、それ以上は何も問いませんでした。
――『世界の役員が教えてくれたこと「仕事に追われる人生」で終わらない生き方』より
その後、役員は、その上司を別のポジションに異動させ、後任の管理職を配置した。すると、その後は若手社員が辞表を出すことがなくなったという。
ここで重要なのは、問題が起きたときに、すぐ対策を増やそうとしなかったという点だ。
研修を増やす。採用を強化する。退職者の声を集める。どれも間違った対策ではない。しかし、問題の原因が別のところにあれば、いくら努力しても状況は変わらない。
同じような問題が繰り返し起きたときは、一度立ち止まり、こう考えてみる。
「なぜ、この問題は何度も起きるのだろうか」
目の前の問題に素早く対応することも大切だ。しかし、それ以上に重要なのは、問題が起きる原因そのものを取り除くことである。
本当に仕事ができる人は、問題をたくさん解決するのではなく、そもそも問題が起きない状態をつくっているのだ。








