「老後のために、ずっと貯金をしてきた」「お金の心配はないのに、なんだか満たされない」。老後の資金を十分に準備できたとしても、それだけで幸せな毎日が約束されるわけではありません。では、お金はあるのに幸せを感じられない人には、どんな特徴があるのでしょうか? ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏は著書『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』の中で、心理学の「物質主義」の研究をもとに、お金やモノと幸せの関係について語っています。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

老後に「お金はあるのに人生が不幸な人」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

お金はあるのに、満たされない

暮らしに困らないお金はあるのに、満足感がない。
新しい物を買うと、そのときだけ気持ちが晴れる。
持ち物や暮らしぶりを、つい人と比べてしまう。

こんなことに心当たりはないだろうか。
心理学の世界には、物質主義(マテリアリズム)という言葉がある。前野隆司氏は、本書の中で次のように紹介している。

ラッセル・ベルクによると、物質主義とは、消費者が世俗的な所有物を重視することです。物質主義が最も高いレベルでは、所有物が人の生活の中心的な位置を占め、満足と不満の最大の要因となりうると、ベルクは述べています。
――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より

ワースト1は、モノやお金を生活の中心に置くこと

老後に「お金はあるのに人生が不幸な人」の特徴・ワースト1。それは、モノやお金を生活の中心に置いてしまうことだ。

物質主義と幸せの関係については、次のような研究結果がある。

さらに、物質主義は各種ウェルビーイング指標と負の相関関係があることも知られています。つまり、物質主義的な人は、幸せではない傾向があるということなのです。私が先ほども述べた、地位財(地位として他人と比較できる財。金・モノ・地位)とも近い概念ですね。地位財による幸せは長続きしないこともわかっていますので、やはり、物質主義的だとあまり幸せにはなれないようです。
――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より

モノやお金に満足を求めるほど、満足は長続きせず、次の物を求め続けることになる。お金があることと、幸せであることは、必ずしも一致しないのだ。

モノより体験に、お金と時間を使おう

前野氏は、購買型の消費よりも、体験型の消費の方が幸福度は高まるという研究結果も紹介している。

新しい物を買う代わりに、行ってみたかった場所に出かけてみる。
家族や友人と、一緒に過ごす時間にお金を使ってみる。
習い事や学び直しなど、新しい体験を始めてみる。

そんなちょっとしたことが、お金を幸せに変えるきっかけになるかもしれない。

老後のお金は、持っていることよりも、どう使うかが大切だ。モノではなく体験にお金を使ったとき、老後の毎日は豊かになっていくはずだ。