「子どもには迷惑をかけたくない」「近所付き合いは面倒だ」「一人のほうが気楽でいい」。人間関係のわずらわしさから距離を置き、自分のペースで暮らしたいと考える人は少なくありません。しかし、その気楽さが、老後に思わぬ不安を招くことがあります。ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏は著書『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』の中で、ブータンでの体験をもとに、人とのつながりと幸せの関係について語っています。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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一人の気楽さに潜む落とし穴
困ったことがあっても、人には頼まず自分で何とかする。
近所の人とは、あいさつ程度の付き合いしかない。
誰にも迷惑をかけないことを、何より大切にしている。
こんなことに心当たりはないだろうか。
人に頼らず自立して生きることは、立派なことのように思える。
しかし前野隆司氏は、幸せの国と言われるブータンを訪れたときに得た知見をもとに、下記のように語っている。
なんという人数でしょう。そんなにたくさん信じる人がいると安心ですよね。
――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より
ブータンの人々は、「本当に困ったときに頼れる人」が50人もいるというのだ。
では、日本はどうだろうか。前野氏はこう続ける。
――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より
頼れる人が多いことは、幸せなこと
「他人の世話にはならない」のは確かに気楽だ。
だが人に頼らなければ、人から頼られることも少なくなる。
わずらわしさのない暮らしは、裏を返せば、困ったときに手を差し伸べてくれる人がいない暮らしでもある。
元気なうちは気づきにくいが、人の手を借りる場面が増える老後ほど、その差は大きくなっていく。
人は、誰かとつながることで幸せになる。
それは、老後にこそ実感することなのかもしれない。
小さな頼り合いから始めよう
ちょっとした頼みごとを、思い切って人にしてみる。
近所の人に、あいさつのあとにもう一言かけてみる。
誰かが困っていたら、自分から手を貸してみる。
そんな小さなやりとりの積み重ねが、いざというときに頼れる人を増やしてくれる。
迷惑をかけないことよりも、頼り、頼られる関係を少しずつ育てていくこと。
それが、安心できる幸せな老後への第一歩になるはずだ。






