写真はイメージです Photo:PIXTA
「子どもに奨学金という借金を背負わせたくない」。そう考え、無理をしてでも学費を負担しようとする親は少なくありません。しかし、その責任感が家族の将来を苦しめることもあります。教育費と老後資金を考えるうえで、親が見落としてはいけない現実とは。(家計再生コンサルタント 横山光昭)
教育費は親が出すべき?
善意で破綻する老後
子どもの大学進学は、親の人生の節目にもなる誇らしいことであると同時に、家計にとっては最大の山場です。真面目で責任感の強い親は、子どものうちから奨学金などの借金を背負わせたくない、親の務めとして学費は全額出してやりたいと考えを曲げられなくなることがあります。
家計相談の場面でも、50代の親たちから「お金は十分ではないが、教育費だけは親が負担したい」と言われることがよくあります。無理に教育費を負担すると、老後資金が枯渇してしまうだろうと明らかな状況でも、子どもに借金を負わせるくらいなら、将来をあきらめさせる選択になる可能性があるのなら、「無理」は自分たちが背負おうとするのです。ですが、この親の自己犠牲のようなものほど危険なものはありません。
なぜ親は子どものために無理をしようとするのでしょう。理由は明快で、期日が決まっている教育費という目の前のものに対し、老後資金は遠くのぼんやりしたものとして過小評価してしまうからです。今、持っているお金を吐き出しても、また挽回できる、何とかできる。そういう甘い考えを持っているのです。
教育費を最優先するご家庭は結構ありますが、今回は、教育費の聖域化と日常的な分割払いの利用で、家計は正常に回っていると思い込みながら老後破綻の危機に直面した、ある会社員の事例をご紹介します。
「次男の大学進学のために、もう1本教育ローンを組みたい。家計を切り詰めて、なんとか返済していける形を作れないだろうか」
そう話しながら相談にきたのは、都内の中堅商社で働く後藤敏夫さん(52歳・仮名)。正社員として事務職で働く妻(49歳)と、大学受験を控えた高校3年生の次男との3人暮らしです。
後藤家には独立した社会人2年目の長男(24歳)がいます。その長男の大学進学時、貯蓄が十分にできていませんでしたが、子の学費は親が出すべきと考え、国の教育ローンを利用しました。相談時にも返済を続けている状況で、あと5年ほど続くそうです。
そして、次男が大学受験に直面している今、長男と同じように親が学費を負担しなくてはいけない、それが公平だと考えています。まだ社会にも出ていない子どもに借金を背負わせるなんて父親のプライドが許さないのだそうです。
しかし、家計状況をみると、次男分の教育ローンを組めるような状況ではありません。それどころか、よく家計を回してきたなと思わされるほど逼迫しています。共働きで毎月の世帯手取り収入は約48万円あるのに、毎月7万〜8万円もの赤字を出していたのです。
この赤字を、ボーナスや貯蓄を崩して補填し、何とかお金を回してきたようです。ですが、その結果、長男の大学進学前は500万円ほどあったという貯蓄は、わずか130万円にまで激減していました。
決して華美な暮らしはしていないと言います。では、なぜこんなにも赤字になるのか。







