「定年したあと、何をして過ごせばいいのだろう」「仕事を辞めたら、人とのつながりがなくなってしまいそう」。年齢を重ねるにつれて、そんな不安を抱く人は少なくないでしょう。仕事を離れれば、収入だけでなく、日々の生活や人間関係も大きく変わる可能性があります。部下からこうした悩みを打ち明けられたとき、上司はどんな言葉をかければいいのでしょうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、定年後に不安を抱える部下への向き合い方を解説します。

部下から「定年後が心配です」と相談されたとき、上司が伝えたいこと・ベスト1Photo: Adobe Stock

「まだ先のことだから」で流さない

「定年したら、一人ぼっちになりそうで心配なんです」

50代の部下から、ふとこんな言葉が出ることがあります。
上司としては「まだ先の話だよ」と返したくなるかもしれません。でも本人にとっては、すでに現実味のある悩みです。

定年後の三大不安は、「お金」・「健康」・「生きがい」と言われます。
会社にいる間は、仕事があり、収入があり、話す相手がいて、自分の役割もある。定年でそれらが一度に減るかもしれない。そこに不安を感じるのは自然なことです。

まず考えたいのは、今の会社で長く働くこと

こうした相談に、「趣味を持とう」「会社の外に居場所をつくろう」と返すのも一つの答えです。ただ、その前に考えたいことがあります。

会社の再雇用等が65歳までなら、まずはそこまで、会社に必要とされる人でいることです。

働ける期間が延びれば、収入や人とのつながりを保ちやすくなり、健康にも目が向きます。
つまり、できるだけ長く働くことは、定年後の三大不安とされる「お金・健康・生きがい」のすべてに関わってきます。

遠い先より、今をどう過ごすか

一方で、10年、20年先のことばかり考えていると、不安は大きくなる一方です。準備は必要でも、先のことを考えすぎて今の毎日がおろそかになっては意味がありません。

「おごらず、焦らず、腐らず」といった姿勢も大切です。
今いる場所で頼られる人でいる。将来のことはほどほどに。元部下が上司になってもうまくやる。その積み重ねが、結果として定年後の不安を小さくしていきます。

少し先まで見て、声をかける

もちろん、上司が部下の老後まで背負う必要はありません。
ただ、「最近、健康診断の結果はどう?」「この新しいシステム、覚えておくと後々強いよ」と、その人が長く働き続けるための一言はかけられます。

目の前の仕事だけでなく、その人がこれからどう働いていくかまで考えて声をかける。そうした関わり方も、大事なリーダーの“ふるまい”です。