「今日はなんだか集中できない」。そんなとき、私たちはつい「自分の気合が足りないせいだ」と自分を責めてしまいがちです。原因は「部屋の空気(温度と湿度)」にあるかもしれません。実は、意志の力やモチベーションなど比べものにならないほど、室温はあなたの脳のパフォーマンスを支配しています。本記事ではリクルートやマッキンゼーの仕事術をまとめた書籍『野性の仕事術 泥臭さと合理性を両立するための全知見』より、部屋の温度と湿度の秘密について特別に一部抜粋・編集し、お届けします。

部屋でリラックスphoto:AdobeStock

室温が寒いだけでタイピングエラーが増える

 健康的に暮らしたり、仕事で成果を出すために、見落とされがちな要素で、かつ私が気を配ることが多いのが、「部屋の湿度と温度」だ。

 多くの人は食事や運動には気を配っても、仕事や睡眠を支える環境要因については意外と無頓着だ。しかし、室内の温度や湿度は、集中力や判断力に直結する。実際、室温を20℃から25℃に上げるだけで、オフィスのタイピングエラーは44%減り、生産性は150%以上も向上したとの研究もある*1。

 一方で、室温が25℃を超えると徐々にパフォーマンスが低下するとも言われている。これはアメリカにおける研究なので、日本人にはまた違った最適温度があるかもしれないが、要は自分が快適だと思える環境で働くことが重要なのだ。

 ところが日本人は、「我慢する文化」を美徳としがちだ。少し寒ければ厚着をし、暑ければ扇子をあおぐ。エアコンをつけることを「もったいない」と感じる人も少なくない。

 しかし、プロフェッショナルとしての視点に立てば、省エネ意識よりもまずは自分のパフォーマンスを最適化することこそが最高の社会貢献だ。成果を出すことで企業や社会により大きな価値を還元できるなら、空調の電気代など安い投資と言えるだろう。