空気はスマホ以上に触れている存在

 さらに重要なのは、自分の最適ゾーンを把握することだ。一般的に仕事に最も適した環境は、温度22〜25℃とされているが、体質や作業内容によっても最適値は微妙に異なる。温湿度計や加湿器を活用し、自分にとって集中力が高まる環境を「数値」としてつかんでほしい。私はどちらかというと寒がりなので、25℃が理想的だとしている。

 とはいえ、自分で簡単にエアコンの温度を調整することができない環境にいる人も多い。寒さや暑さを感じたら、できる限り我慢せずに要望を出すようにしよう。それはわがままではなく、自分の健康を維持するために必要な行動だ。

 加えて、生活とはオフィスだけではなく、家にいるときや睡眠時も当てはまる。最たる例は睡眠時だろう。おそらく在宅勤務の人を除いて、ビジネスパーソンにとって、家にいる時間の大半は寝ている時間だ。人間は1日の3分の1を眠りに費やす。

 寝室の温度や湿度が乱れていれば、どれだけ睡眠時間を確保しても疲労感が残り、翌日のパフォーマンスは大きく損なわれる。夏に「エアコンをつけっぱなしで寝るのは体に悪いのでは」と心配する声も聞くが、実際はむしろ逆で、適切に温度を管理したほうが体の負担は少ないことが明らかになっている。

 冷風が直接体に当たらないように風向きを工夫し、タイマーやサーキュレーターを併用すれば快適に眠ることができる。

 加湿器を冬場に使うのも必須だ。湿度が30%を切ると、風邪やインフルエンザのウイルス生存率は急上昇すると言われている。逆に適度な湿度を保つことで、感染症リスクを抑え、喉の乾燥や肌荒れも防げる。つまり、空気を整えることは「予防医療」であり、間接的に成果を守る行為なのだ。

 オフィスでも自宅でも、まずは温度計と湿度計を置こう。そして、成果を出すビジネスパーソンとして、部屋の温度と湿度にこだわろう。空気はパソコンとスマートフォン以上に、自分が触れている存在だ。

*1:“Study links warm offices to fewer typing errors and higher productivity”