「どっちでもいいよ」。そう相手に言われてうんざり……。そんな経験はないでしょうか。「スタンス」を取り、意見をはっきりさせないとまわりに大きなストレスを与えてしまいます。本記事では、リクルートやマッキンゼーで活躍し、現在は、国内トップクラスの不動産エージェント企業の創業者として活躍している江口亮介氏の著書『野性の仕事術 泥臭さと合理性を両立するための全知見』より、スタンスの取り方について特別に一部抜粋・再編集し、お届けします。
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「どっちでもいい」は静かに信頼を失う言葉
ビジネスの現場でもプライベートでも自分の意見を提示せずに上司や家族・友人に判断を仰ぐ人が少なくない。しかし、自分の意見を持たずにいると、いつまで経っても結論は出ない。
私がマッキンゼーに入社したばかりの頃、最初に受けた大きなアドバイスは「必ずスタンスを取れ」というものだった。
「スタンスを取る」とは、限られた情報のもとで仮説を立て、「現時点ではA案が最適だと判断します」と自分の意見を明示する行為だ。
答えのない領域で仮説を掲げるからこそ、周囲は論点や追加データを提示しやすくなり、議論が仮説検証型に加速する。反対に、スタンスを示さず「どちらがいいですか?」と相手に結論を丸投げすると、会議はただの情報交換で停滞し、最終的な質も生産性も低下する。往々にして、仕事の推進力がない人は、スタンスが取れない人だ。
プライベートでも「どっちでもいい」「なんでもいい」と、自分のスタンスを示さないケースも同じだと言える。そして、スタンスを取らないのは相手に大きな負担も与える。
よくあるケースだが、「どちらがいい?」と聞かれて、「どっちでもいい」と言っておきながら、あとで「違うほうがよかった」などという人がいるが、それは自らがスタンスを取らなかったからであり、その原因を他人に押しつけてはいけない。
スタンスを取ることの重要性がわかったところで、もう少し深掘りするために、ビジネスシーンで考えてみよう。「A案とB案のどちらがいいでしょうか?」と上司に丸投げするのはNGだ。取るべき姿勢はこうだ。
「A案とB案の比較を行いました。コストと実行速度の観点から、私はA案が最適だと考えます。いかがでしょうか」。
この一言で議論は一気に深まる。なぜなら、相手はあなたの判断材料や論理を検証し、「この条件ならB案も有効かもしれない」と建設的に議論してくれるようになるからだ。
仮に議論した結果、元の意見とは違う結論になったとしても、それはスタンスを取り、議論を前に進めたあなたの功績だ。



