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インキュベーションの虚と実

事業のHOWが鍵、そのパズルを考え抜く
小澤隆生・YJキャピタルCOOインタビュー

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第35回】 2013年9月17日
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 僕はどうやったら面白くなるかとか、小学校低学年のころから考えることはやっていた。お遊戯会でも文化祭でも、旅行でも飲み会でも、ひたすら面白くする方法を考える。バンドのライブを毎年やっているが、プロのライブより面白かったと言われるよう、最大限楽しんでもらうために考え抜いている。 

 昔はクラスの人気者になれるといいと思ってやっていたが、いまはみんなが幸せになるためにやっている。人がどこに喜んで、どこに金を払うのかを考えている。これだったら面白いんじゃないか。皆が喜び、世の中のためになるものを求めて、パズルをひたすらやる。

 楽天球団は、一つの集大成です。自分ならどうするか、やる以上は日本一にと、解いたパズルだ。

*  *

 小澤氏は、いつも事業のアイデアを考えているわけではなく、集中的にやる。それも「電話帳ナイト」のように工夫を凝らす。

 しかし、面白くするパズルを解こうとする対象は、飲み会からバンドのライブまで、事業の枠にとどまらない。この積み重ねが、小澤式の“パズル脳”となって、事業のHOWをつくっていくのだろう。

 「パズル」とは何かイメージしやすいように、小澤氏が手掛けた分かりやすい例を挙げてみよう。なお、集中的に考えるにあたり、いずれの例でも徹底的に情報収集をしたことを付け加えておきたい。

<例1 楽天イーグルス>

 2005年に初シーズンを迎えた楽天イーグルスは当時、5ヵ月で球場を作って本拠地で試合をするなんて間に合わない、黒字経営なんて無理だ、という周囲の声を跳ね返し、その両方を達成した。

 プロ野球は歴史と伝統があり、既成概念と業界慣習が強い社会だが、小澤氏ら楽天チームは、部外者の強みでビジネスの仕組みを一から作り直した。

 一部を紹介すると、

・成功の定義を変えた。「優勝」から「負けても儲かる」経営に。
・競争相手の定義を変えた。「他球団」や「Jリーグ」でなく、「居酒屋」など他の事業に。

 これに基づき、会費が1000円から10万円まで多様なファンクラブを始め、テーブルを囲んで座る(グラウンドに背を向ける人も出る)シートなど、従来の常識を破る数々の新機軸を打ち出して成功した。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

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