また、副次的といえるかもしれないが、社長を含め、経営者が外から必要であり、経営者になりたい人が腕を磨く実践の場を提供しているとも言える。日本に優秀な経営者を増やすことにも一役買っている。

―― 一方、有名な投資ファンドの場合でも、小手先のrecapitalization(資本再構築:株主資本と負債の入れ替え)だけで利益を上げようと考える人もいると思いますが、これに企業はどう付き合えばいいのでしょう?

リキャップで儲けること自体は別に問題ではないと思う。投資ファンドは確かにリキャップで儲けることができるが、一方で企業も企業価値が高まるチャンスを得るわけであり悪いとは思わない。会社は確かに借入金の割合は高くなるが、事業価値が下がっていなければマイナスはない。

――しかし、例えば投資ファンドの買収時と転売時で、事業価値は不変で、株式価値だけが高まって投資ファンドが利益を上げた場合などはいかがでしょう?企業にすると借入金の返済をするぐらいなら、新規事業投資などしたかったと思うところもあると思いますが?

 それは、例えば、買収時の事業価値が100億円の企業を10億円の株式と90億円の借入金で買収し、3年後に事業価値は100億円で変わらないが、株式30億円と借入金70億円の状態で売却し、投資ファンドに利益が発生したようなケースを言っていると思うが、そもそも投資ファンドが最初に100億円で買収した際は、90億円のローンでレバレッジを効かせたから100億円という値段をつけることができたのであり、レバレッジの存在がなければ100億円の値段は出せなかった。そう考えると、実質的な事業価値は高まっており、そもそも投資ファンドの存在なくして、売り手は希望金額で売れなかったはずだ。

――投資ファンドの存在意義には、企業に対するガバナンス強化もあるかもしれないと思いますが、投資ファンドはガバナンス強化につながっていると思いますか?

 投資がうまく行っているファンドの投資先企業ではガバナンスが利いている。そうでなければ、投資がうまく行くわけがないので。うまく行っている企業に関しては放置しておいた方がよく、ビジネスの専門家でない株主が乗り込んでいってガタガタ言うべきではない。ただ、やるべきことがわかっていない企業に投資をした場合は、介入してキチンとガバナンス強化に動かないといけない。つまり、投資先によって異なる。


<次回【後編】へ続く>