消費増税による駆け込み需要の増加でいま、物流業界ではトラック不足という深刻な問題に直面している。メーカーなど一部の荷主企業では、出荷量の増加に車両の手当てが間に合わない状況が続いている。さらに、引越しの繁忙期が重なることで需給関係が崩れ、トラックをチャーターするスポット運賃は急上昇を続けている。貨物量の急激な増加によって表面化した格好だが、実はこうしたトラック不足の背景にはドライバー不足という構造的な問題が指摘されており、今後「経済の大動脈」である物流活動に大きな打撃を与えることが懸念されている。(カーゴニュース社長・編集局長 西村旦)
2月の需要は前年同月比8割増
トラック確保に困る荷主企業
あるOA機器メーカーの物流担当者は「運賃を5割増しにしても車両が確保できない」と危機感を募らせる。この会社は東京、神奈川、千葉といった関東の主要エリアで通常200台のトラックを運行しているが、駆け込み需要が見込まれる3月末には5割増の約300台が必要になると予測。だが、トラックを確保できるめどが立っておらず、「納品スケジュールを分散化するなどして対応するしかない」と打ち明ける。
業種によって濃淡はあるものの、同様の困難に頭を悩ませている荷主企業は少なくない。
全日本トラック協会などが運営する求荷求車システム「WebKIT」では、荷主などが運んでほしい荷物を登録する件数(求車情報)の2月実績が前年同月比約82%と大幅に増加。これに対し、運送事業者が荷物を求める件数(求荷情報)は約11%減で、極端な需給ギャップが顕在化している。こうした車両不足の状況を反映してスポット運賃水準も上昇しており、「WebKIT」の成約運賃をもとにした2月の運賃指数は115(2010年4月時点を「100」とした指数)となり、前年同月比で9ポイントのアップとなった。こうした傾向は3月に入ってさらに拍車がかかっているという。