贅沢品の支出は抑える
富裕層も価格志向になる
「空前のビジネスチャンスだ」
ディスカウント業界最大手のドンキホーテホールディングス、高橋光夫・専務取締役兼CFOは、自信満々に話す。同社は消費税増税を前にした今、もっとも鼻息が荒いと言っていいだろう。
「リーマンショックや東日本大震災など、社会を揺るがす大きな事件が起きると、弊社の店舗への客数は劇的に増える。これまでの客数を分析すると、はっきりとその傾向が出ている。今回の消費税増税後もそうなるだろう」(高橋専務)
背景にあるのは、消費者の節約意識の急激な高まりだ。消費者は不要不急の支出は抑えるようになる。特に贅沢品の支出は激減する。代わりに、生活必需品に対する価格志向が高まるという。
これまで生活必需品に関しては、それほど価格を意識していなかった富裕層が、1円でも安い商品を求めて、ドン・キホーテなどのようなディスカウントストアに流れてくるというのだ。
「中小のスーパーや雑貨店、GMS(ゼネラル・マーチャンダイジング・ストア、一般的にイトーヨーカ堂やイオン、ユニーなどを指す)などで普段の買い物をしていたお客さまが、価格の安い当社の店舗に流れてくるのではないか」(高橋専務)
増税で富裕層もそうでない層も、消費者は等しく「少しでも安く買おう」という意識が高まる。低価格を売りにするディスカウント業態は、この状況こそ大きなビジネスチャンスだということだ。