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人は死の瞬間、いったい何を見るのか。臨死体験では「光を見た」「自分の身体を外から見た」「人生が走馬灯のようによみがえった」といった、驚くほど共通した体験が語られてきた。それらは単なる幻覚なのか。証言を手がかりに、意識と世界の関係、そして「最後に見る」景色の正体に迫る。※本稿は、筑波大学教授の櫻井 武『意識の正体』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
いまだ全容解明されていない
「死の瞬間の意識」
睡眠も冬眠も、意識が一時的に姿を消すにすぎない。やがて私たちは再び目覚め、世界の続きを観測し続ける。
しかし、「死」は違う。
それは、「意識と世界の再接続」が永遠に起こらない状態――言い換えれば、「最後で永遠の無意識」である。
人間にとって、「死の瞬間に意識はどうなるのか?」という問いは、古より宗教、哲学、そして科学の関心を集めてきた。
意識の終点とは、どのような体験なのだろうか。死とは、単に生命活動が止まることではなく、「意識」自体を司ってきた脳の活動が不可逆的に終息する過程である。しかし、その「終息の瞬間」に何が起こっているのかについては、依然として多くが謎に包まれている。それはもちろん、死者が状態を報告することができないからだ。
私たちは、記憶によって自己を編み上げ、意識によって世界を体験している。そして、そのすべてが、ある瞬間にふっと消える――その出来事を、私たちが誰かに伝えることは永遠にできないのだ。
しかし、それを想像することはできる。その鍵のひとつとなるのは奇跡的に死の淵から回復したものが語る臨死体験(NDE:Near Death Experience)だ。







