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クラウド会計サービスの普及が
日本の起業家を後押しする

吉田由紀子
2014年3月19日
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グーグル時代に痛感した
日本の開業率の低さ

 開発したのは、元グーグルの佐々木大輔氏。2012年に起業し、試行錯誤の末にfreeeを立ち上げたのだが、そこにはグーグル時代に積み重ねた思いがある。

 「グーグルではアジア太平洋地域の中小企業向けマーケティング業務を担当していたのですが、その経験の中で日本の開業率の低さを思い知ったのです」

 日本の開業率(新規開業数/全企業数)は、OECD加盟国では最低クラスの5%未満。この数字が低ければ、企業は活性化されないし、未来につながるイノベーションも生まれにくい。

 「freeeの目指すところは、中小企業の経営者が経理・会計を意識しなくてもバックオフィス業務を自動で処理できること。創業間もないような個人事業者でも手が届く価格で提供することでした」(佐々木氏)

 スモールビジネスの経営者が少しでも本業に注力できるような会計システムを作り、バックオフィスを省エネ化したい。そんな思いを募らせた佐々木氏が着目したのは、既存の会計業務で最も時間を取られる「手入力」だった。

 「会計ソフトに入力される領収書や請求書は、プリントアウトされたものです。データとして存在するにもかかわらず、わざわざ手で入力するという作業が普通に行われていました。ならば、“存在する元データ”と自動連携をすることで問題は解決できると思ったんです」(佐々木氏)

 データ連携を実現させ、手入力という面倒な作業を削減したのが、freeeというわけである。

 ユーザーからのリクエストによって、常に中身を改善していけるのもクラウド型の特徴だろう。API(プログラムを連携させるインターフェースの仕様)を公開しているfreeeでは、在庫管理、経費精算、人事給与ツールなど外部システムとのデータ連携も積極的に進めており、将来的には、すべてのバックオフィス業務を一元で行えるサービスにしたいという。

 「これまでは、確定申告時も申告書や決算書を作るだけで精いっぱいという個人事業主の方が多かったのですが、freeeを使い始めて余裕ができ、数字の分析に時間をとれるようになった、営業に時間を使えてうれしい。そんな声が多いですね」(佐々木氏)

 こういったクラウド型の会計サービスは、現在、数社からリリースされており、いずれも基本使用料は無料だ。資産管理ツールとして評価の高いマネーフォワードも事業者向けの「マネーフォワード確定申告・青色申告」を始めている。こちらは、領収書やレシートの写真を撮ると、内容を読み込んで記帳するアプリ「MF Biz」を備えている。

 税制改正により、今年1月から白色申告者にも「記帳」と「帳簿書類の保存義務」が義務づけられたことは、ご存じの方も多いだろう。これまでは面倒な記帳を避けるため、最大65万円の特別控除などメリットの多い青色申告ではなく、あえて白色を選ぶ人も多かったはず。

 しかし、その“旨味”もなくなった今こそ、会計を見直し、利益を生まないバックオフォス業務を少しでもスマートにする好機だと思う。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

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