変化をおそれる政府と
テクノロジーを求める市民

必要なのは、安定した電力、高速接続のための十分な帯域幅、利用しやすいデジタルツール、そして計画を実現するための開業資金を調達できる環境である。

シュミットが交戦地帯を旅したのはこのときが初めてで、ジャレッド・コーエンにとってはもう何度目かわからないほどだったが、2人とも、深いところで大きな変化が起こっているということを、肌で感じながら帰ってきた。

戦争で疲弊したイラク人でさえ、技術の可能性を見抜いているうえ、技術を使ってやりたいこともわかっている。それなら、技術を利用したいという意欲と基本知識をもちながら、技術が手に入らずに困っている人たちが、世界にはまだ何億といるのではないか。

コーエンはこの旅を通して、世界の多くの政府が、このような変化に危険なほど鈍感な(しかも変化をおそれている)こと、また今後政府がさまざまな難題に対処するうえで、新しいツールがどれほど役に立つかに気づいてもいないことを確信した。

そしてシュミットは、テクノロジー業界には「解決すべき問題」と「奉仕すべき顧客」が、まだまだ思った以上に多いことを改めて実感したのだった。