グーグル会長・エリック・シュミット氏初の著書『第五の権力―Googleには見えている未来』の序章を公開。第3回はデジタル新時代に起こる「パワーシフト」について語る。
国家から個人へ
権力の分散
国際社会に目を向ければ、情報通信技術の普及が及ぼす最も重大な変化は、国家や機関に集中していた権力が分散して、個人の手に渡ることである。
歴史を振り返ると、これまで新しい情報技術が開発されるたび、国王であれ、教会やエリート層であれ、従来の権力者が力を奪われ、人々が力を手に入れた。そして情報や新しい通信方法を利用できるようになった人々は、それまでにない方法で社会と関わり、責任を追及し、より主体的に生きる機会を得たのである。
現在見られるコネクティビティの広がり、なかでもインターネット対応携帯電話を通じた広がりは、このようなパワーシフトの最も典型的な例であり、また規模の大きさだけからいっても、おそらく最も奥深い例である。
人々がデジタル技術を通じて、第五の権力を得る。