私たちが思い描く未来とは

偶然にも、私たちが未来について意見を交換し始めた矢先に、ちょうど議論していた問題を端的に表すような大きな事件が立て続けに起こり、世界中の注目を集めた。

中国政府が、グーグルをはじめとする数十社のアメリカ企業に、高度なサイバー攻撃を仕掛けたのもそのひとつ。また、ウィキリークスが華々しく登場し、数十万点もの電子化された機密情報を、誰にでもアクセスできるようにしたのもそうだ。

大震災が日本とハイチを襲い、都市を破壊したが、技術を駆使した革新的な対応が講じられたことに勇気づけられた。

「アラブの春」では、SNSを通じて多くの市民が立ち上がり、あっというまに革命が伝染したことに、世界中の人々がおののいた。
このような動きの1つひとつが、未来について考えるための新しい視点や可能性を示してくれたのである。

私たちは多くの時間を費やして、こうしたできごとの意味や影響について議論し、傾向を分析し、技術を利用して問題を解決する方法について考えた。本書はこのようなやりとりのなかから生まれた。