にこにこしながら、ポロッとしゃべってしまった米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長のコメントに、マーケットは敏感に反応した。
3月20日午前3時過ぎ(米東部時間19日13時過ぎ)、イエレン議長は就任後初の連邦公開市場委員会(FOMC)に臨んだ。
FOMCの決定内容は、いわゆる量的緩和第3弾(QE3)の証券購入額を月額650億ドル(約6兆5000億円)から550億ドルに100億ドル減額するというもの。減額決定は昨年12月のFOMC以降、これで3回連続となった。
このほか、政策金利の将来の軌道について示す「フォワードガイダンス」も修正。「失業率6.5%」が利上げを検討する目安とされていたが、FRBの予想より速く低下して6.5%に近づいてきたため、この失業率の数値基準は削除した。
ここまでは大方の予想通りだったのだが、問題は、FOMC後に開催された議長記者会見である。
記者会見の中でイエレン議長は、QEが終了した後も「相当な期間」、現状の政策金利(ゼロ金利政策)が維持されるとの声明文について、「相当な期間」とはどのくらいかと問われ、「恐らく6カ月前後」と、新たに“数値”に言及したのだ。
マーケットはこれに即座に反応を見せた。米長期金利は前日比0.1%以上も上昇して2.7%台に、ドル円相場も102円台まで円安が進んだ。
それもそのはず。「相当な期間」が「6カ月」となると、QEの縮小が現状のペースで順調に進めば、今年11月には終了できる。そうすると利上げ時期は早ければ「2015年5月」ということになる。それまでの市場予想は「2015年後半」「早くとも15年6月くらい」だっただけに、一気に早期利上げ観測が浮上したわけだ。