そもそも、「新規予算」が名目も、交付先も、使途も新たにする、「本当の新規予算」と、交付先と使途は従来とあまり変わらず、予算の名目だけ新しくするために中身を少し変更しただけの、「新規を装った予算」があります。

 経済政策の効果としては、新規であるか否かよりも、交付先と使途にこそ意味があります。しかし、政治的には、特定業界向けの予算を大幅に減らすことは、選挙対策上避ける必要がありますので、なるべくやりたくありません。ということは、大幅なスクラップ財源を見つけられないまま、支持率維持と浮動票の確保をするためには、新たな政策課題に熱心に取り組んでいるということを印象づける新規事業を打ち出すことが政権には大切になります。

 この妥協の産物が、新規予算の偽装です。枠組み全体をうまくマネージしているのが財務省、新規“目玉”事業の政治的メッセージとしての効果的な打ち出しを担っているのが経済産業省、個別固定票確保のための個別対応をしているのが各省庁ということになります。まさに、これが政官業報の癒着構造ということになります。時に、学も組み込まれることがあります。

 真のビジネスパーソンは、このからくりを見破らなければなりません。2009年と2012年と二度の政権交代を我々は経験したわけですが、政権交代以外の手法で予算を抜本的に組み換えるというのは本当に難しくなっています。

医療研究開発体制整備の裏で
“倒された”医療イノベーション関連予算

 さらに、予算を経済インパクトの観点から考える時に、見過ごせないのは、新規の“目玉”事業のために確保された何十億、何百億円の裏には、その財源ねん出のために、既存の施策、事業予算が削減されたり、ゼロ査定になったりしているのです。

 永田町・霞が関では「倒す」という“業界用語”があります。削減、廃止される予算額のことをいうもので、新たな“目玉”事業が出てくる裏には、何かが「倒されている」ことが多いのです。倒されている分と新規分とあわせて差し引きしたネットの増減で、その分野へのインパクトを総合的に判断すべきだということは、もう読者のみなさんには説明はいらないと思います。