昨今、銀座では日本語が聞こえないほど外国人であふれ、その存在感は日に日に増している。その様子を、「週刊ダイヤモンド」6月7日号特集「百貨店包囲網」から特別公開する記事でお伝えしよう。
Photo by Ayako Suga
今年4月、松屋銀座が24年ぶりに実施した食品売り場のリニューアルが、百貨店業界で話題になっている。
買い上げ単価5%アップと全体のグレードを上げたのに加え、日本酒やお茶売り場を拡充し、9月には地下1階に免税カウンターを設ける計画だが、「外国人向けの売り場にしたのでは」(百貨店関係者)とみられているのだ。
昨今、銀座では日本語が聞こえないほど外国人であふれ、その存在感は日に日に増している。松屋銀座の全館売上高に占める外国人比率は5%と毎年倍々のペースで増え、今年4月第1週には瞬間的に10%を超えた。これは、免税品に限定した数字のため、食品などを含めた実際の買い上げ額はもっと大きい。
外国人の百貨店に対する信頼が絶大なのは、日本品質に対する安心感が大きい。自国にもある高級ブランドをわざわざ日本で買う外国人も少なくないほどだ。
百貨店側にとっても外国人客は上客だ。大丸松坂屋百貨店によると、1人当たりの平均購入額は日本人が4000円なのに対し、外国人客はなんと約6万円。消費増税もどこ吹く風で、反動減を補って余りある。
それだけに各社は外国人客の獲得に尽力。建て替え工事中の松坂屋銀座店は、外国人専用バスの駐車場を設け、通訳も置く予定。すでにLCC機内でチラシを配布したり、ホームページで漫画を発信している。三越銀座店も、「外国人客専用売り場を作りたい」(大西洋・三越伊勢丹ホールディングス社長)と意気込む。
10月から免税対象が食品や化粧品に広がり、外国人客はますます増えそうなだけにさらに力が入りそうだ。
(週刊ダイヤモンド編集部)