前回は、日本の伝統的な給与制度が変革期を迎えている点について、グローバル化と少子高齢化の側面から考えてみた。今回は、そのような変革期に経営のかじ取りを担う経営者の報酬について、欧米との比較を通じて考えてみたい。

社長の職務に
見合う報酬とは?

 もしあなたが今勤めている会社の社長になるとしたら、いったいいくら報酬がもらえるだろうか? もしくはもらいたいだろう? どの程度の報酬が社長としての責任に見合うものと考えるだろうか。

 日本では2010年3月の内閣府令(個別報酬額を含む役員報酬やガバナンスに関する開示を義務付ける内容)により、報酬総額が1億円以上の役員名と報酬総額の開示が求められた。東京商工リサーチの調べによると、2010年から過去4回の開示で、報酬総額1億円以上の役員は毎年300名程度(約170社から開示)である。

 一般の会社員からしてみれば1億円というと大層な金額であるが、世界の経営者報酬に比較すると日本の役員報酬はかなり低い。ヘイグループは、世界100カ国以上で役員・社員の報酬調査を毎年実施しているので、日本企業が海外法人の役員報酬の妥当性を検証するサポートをすることが多い。

 そして、海外子会社の役員報酬の方が、本社の社長の報酬よりも高い(ときには、“はるかに”高い)という場面によく出くわす。

 【図1】をご覧いただきたい。横軸は役員の担う職務の大きさを表しており、その大きさが増すに連れてどのように報酬レベルが上がっていくかを示したものである。同じ社長でも世界経済へ影響が大きいであろう数兆円以上規模の社長と、国内事業が中心の数百億円規模の社長では、当然ながら報酬水準は異なる。

 2013年度に日本で開示された1億円以上の役員の中でトップは、日産自動車社長のカルロス・ゴーン氏で、長期インセンティブを含めた総報酬額が9億8800万円であった。これは、米国・英国の報酬市場水準に近く、明らかに日本の基準で決定されていないことが分かる。

 ちなみに、米国・英国ともに総報酬の内訳は概ね、基本報酬1、短期インセンティブ(年度業績に連動するインセンティブ)1、長期インセンティブ(複数年かけて達成する業績に連動するインセンティブ)2の割合だ。つまり、総報酬の4分の3は業績に連動して増減する。