170人という大人数で構成された顧問会議の役割について、東京2020オリンピック・パラリンピック組織委員会にコメントを求めたところ、前述の戦略広報課から以下の回答を得た。

「個々の顧問の方については申し上げませんが、顧問会議はいわば2020オリンピック・パラリンピックの応援団として、オールジャパン体制を盛り上げていただくとともに、各界からの幅広い助言を得ることで大会の成功に期することを目的にしています。顧問の皆様には年1回程度の顧問会議への出席をはじめ、各々所属の団体や県警機関などにおいてオリンピック・パラリンピックの気運醸成の取り組みをしていただくことを期待しています。尚、顧問の皆様には無給でご協力をいただいています」

 東京大会の前にブラジルのリオデジャネイロで開催される2016年オリンピック・パラリンピックのウェブサイトでは、組織委員会のメンバー構成や個々の略歴を見ることが可能だが、いわゆる「顧問会議」は各競技団体のトップで構成されるスポーツ顧問の19名のみで、各界から集まった170名で構成される東京五輪組織委員会の顧問会議よりも、コンパクトさは際立つ。

 どちらが正しいかという問題ではないものの、170名の大所帯では「船頭多くして船山に登る」という状況に直面しないだろうか。

多くの課題に直面しつつも、
東京五輪は社会の流れを超える起爆剤に

 建設コストの高騰などから、当初予定されていた新たな会場の建設は見送られる公算が大きくなってきた。また、各界に配慮する形で選出された170名で構成される顧問会議は、招致委員会が当初目指してきたはずの「コンパクトな大会運営」の主旨とは相反するようにも見え、全ての関係者が同じ方向を向いた上で大会が運営されていくのかという疑問も残ったままだ。

 しかし、スポーツを取り巻く環境が変わりつつある現在、6年後の五輪開催は老若男女が気軽にスポーツを楽しめる環境作りの面で、大きな決定打になる可能性も秘めている。

 本連載で行ったインタビューで鈴木寛・東京大学大学院・慶応義塾大学教授(元文科副大臣)は、日本のスポーツ行政が転換期を迎えるなかで、6年後に行われる東京五輪が日本におけるスポーツの存在意義を変える起爆剤となりうると語り、東京五輪の開催が決定したことで、各競技団体や地域コミュニティが中期的な目標を立てやすくなったと指摘する。

「スポーツ基本法が作られたことで、スポーツ行政のコンセプトは大きく変化した。市民が主体となり、そこに行政が持つノウハウやパワーを加わり、日本のスポーツは国家主導から国民主導へと方向転換したのだ。国民主導のスポーツ政策で基盤となるのが、それぞれの地域のスポーツクラブになる。日本のスポーツにおけるクラブ文化は定着するまでにまだまだ時間を要するが、地域のスポーツクラブが中心となって、みんながスポーツを楽しめる土台ができていくと、スポーツの普及・強化の両面で大きなプラスとなるだろう」(鈴木氏)