当時から身体に良いことは知られており、江戸時代の書物にも、「胃腸の働きを促し、下痢を止め、痔や喉の痛みを治す」と書かれています。

 しかも、無花果の茎を切った時に出る白い汁は、虫刺されや痔や疣《いぼ》の薬として珍重されていました。

 『和漢三才図会』という江戸時代の百科事典にも、無花果は「五痔を治す」と書かれています。

 挿し木で増やせ、栽培しやすいこともあって、無花果はたちまち日本中に広がったそうですが、筆者が若い頃も、庭にいちじくを植えている家が多くありました。

干し無花果
【材料】無花果…3個
【作り方】①無花果はヘタを切って白い汁を拭き取り、半分に切ってオーブンで2分温める。冷めたら手で押し潰して平たくする。②1をザルに並べ、布巾などをかけて飛ばないように固定し、風通しの良い場所で天日干しにする。朝10時~夕方5時頃まで干したら、夜は室内の涼しい場所に保管し、翌日また干す。2~3日干したら冷蔵保存する。
※一週間干せば、常温でも保存可能

 熟した後は腐るのが早いため、よくおすそ分けしていただいたものですが、ツブツブがグロテスクで、時々中に蟻が入っていることもあるので、子どもには不人気のフルーツでした。

 それだけに無花果は「そこいらに生えている甘い木の実」という印象で、現在のように果物売り場で高級フルーツとして扱われていることに、未だに違和感を覚えます。