大抵、「わが社についてどの程度ご存じですか?」という質問を投げかけ、その答えに応じて、候補者は知らないと思われる質問を投げかけ続ける。知らないことを聞かれたときに、どのように答えるかを見るのだ。

 ほとんどの候補者は、そういった質問に対して、自分に非があるような態度をとる。「勉強不足で申し訳ありません」「いえ、そこまで調べられませんでした。至らずすみません」といった言葉がでてくる。あるいは開きなおる態度に出てくるものもいる。

 前述のような答えをした候補者は、まず受からない。彼は、「これから正直にお話します」といった後、自分が知らない情報について調べることができなかった経緯を簡単に述べた。

入室時からオーラが違った
面接官を唸らせたスーパー候補者

 しかし、その後1人の面接官がわざと意地悪な質問をした。

「君はこの情報を知らないのに、わが社に就職したいと思ったのですか?」

 彼は少し考えた後、落ち着いた口調で、「その情報を知らなければ就職できないのであれば、たぶん私は、どの会社にも就職できないと思います」と言って笑った。彼は正直に自分が希望している他の社の名前を挙げ、それらの会社についても同様に調べることができなかった経緯を話した。

 そして、「私は自分が調べられ得る限りの情報を考慮した上で、御社を希望しております。それは現時点で、私のできる最良の選択であると考えています」と言った。

 人事チームは、皆うなった。これだけの緊張感の中で、知らないことを尋ねられ、さらに意地悪な質問をされたら、大抵の候補者は頭が真っ白になって、狼狽してしまう。事実、ほとんどの候補者はこのような質問の後には、固まってしまっていた。

 彼は最後まで、面接チーム1人1人から視線をそらすことなく、淡々と、だが誠実に質問に答えていた。このやりとりのなかで、重要なことは2つある。